変貌する中国を少しでも知るためにーー『現代思想』総特集「チベット騒乱」 『現代思想』臨時増刊号「総特集 チベット騒乱ーー中国の衝撃」 8月のオリンピックも終わり、9月に入って、オリンピック前のチベットでの出来事は、日本社会のなかからは忘却されていくのだろうか。一部の人びとがいつものように、中国の人権問題、少数民族抑圧を指弾して終わるのか。 そんなとき、『現代思想』は毎度、立ち止ま… トラックバック:0 コメント:0 2008年09月05日 続きを読むread more
グルジアとロシアに挟まれた南オセチアの帰属問題ーーその背景的知識の確認のために 北川誠一、前田弘毅、廣瀬陽子、吉村貴之(編著)、『コーカサスを知るための60章』、明石書店、2006年 グルジア領内にある南オセチア共和国で、グルジアとロシアとのあいだで戦争状態になってから半月余。 ちなみに、北オセチア共和国は、国境を挟んでロシア側に。つまり、オセチアは二つの国家に別れているかたちになっています。 … トラックバック:0 コメント:0 2008年08月28日 続きを読むread more
日本軍「慰安婦」問題への一視座ーー山下英愛『ナショナリズムの狭間から』 山下英愛『ナショナリズムの狭間からーー「慰安婦」問題へのもう一つの視座』、明石書店、2008年 本書は、日本軍による「慰安婦」問題についての総体的な考察の書であるが、歴史的な知見においてはとくに目新しいものはない。しかし、貴重な視座を提供している。特徴的なのは以下の点だ。 ◆「日本人」と「朝鮮人」を両親にもつ著者が、自… トラックバック:0 コメント:0 2008年08月22日 続きを読むread more
「真実」と「和解」という用語とその現実ーー阿部利洋『真実委員会という選択』 阿部利洋『真実委員会という選択ーー紛争後社会の再生のために』、岩波書店、2008年 ここのところ「和解」ということをめぐっていろいろ考えたり本を読んだりしている。 直接的には、戦後和解ということがきっかけではあったが、その後、そもそもなぜ「和解」という用語なのかというところから、原理的に考えなければならないと考えるよ… トラックバック:0 コメント:0 2008年08月03日 続きを読むread more
北方先住民から日本の近代化を問い直すーーテッサ・モーリス=スズキ『辺境から眺める』 テッサ・モーリス=鈴木、『辺境から眺めるーーアイヌが経験する近代』、大川正彦訳、みすず書房、2000年 この6月に日本政府・国会が初めて、アイヌを「先住民」として認めました。このたったの一歩のためでさえ、あまりに長い時間がかかりました。 萱野茂氏の尽力で、1997年にようやく「北海道旧土人保護法」が廃止され、代わりに… トラックバック:0 コメント:0 2008年06月21日 続きを読むread more
「無国籍者」から問い直す国家主権ーーバトラー/スピヴァク『国家を歌うのは誰か?』 ジュディス・バトラー/ガヤトリ・スピヴァク、『国家を歌うのは誰か?ーーグローバル・ステイトにおける言語・政治・帰属』、竹中和子訳、岩波書店、2008年 この本は、アーレントにおける「無国籍」問題を切り口に、理論的には、グローバル資本主義世界における国民概念や国家主権を問い直す、というもの。それにしても、バトラー&スピヴァ… トラックバック:0 コメント:0 2008年06月15日 続きを読むread more
植民地主義の二重性:包摂と排除の典型としてーー水野直樹『創氏改名』 水野直樹『創氏改名ーー日本の朝鮮支配の中で』岩波新書、2008年 以前に取り上げた、梶山季之「族譜」(『族譜・李朝残影』岩波現代文庫)の背景となる「創氏改名」をあますところなく解説。新書ということもあり(実際には新書の水準を超えた内容となっていますが)、この問題を知るうえでの基本文献だと思います。 強制的だったのか自… トラックバック:0 コメント:0 2008年06月07日 続きを読むread more
早尾貴紀『ユダヤとイスラエルのあいだ』に対するいくつかの書評 私の『ユダヤとイスラエルのあいだーー民族/国民のアポリア』(早尾貴紀著、青土社、2008年)に、いくつかの書評をいただきました。ほんとうにありがたいことです。 つい最近、細見和之さんが、『インパクション』163号で取り上げてくださいました。長文の書評で、多くの論点に触れてくださいました。 同号では、イスラエル建国に… トラックバック:0 コメント:0 2008年06月03日 続きを読むread more
北アイルランド紛争から学ぶ、植民地/入植地のもたらすマジョリティ/マイノリティ関係 尹慧瑛『暴力と和解のあいだーー北アイルランド紛争を生きる人びと』法政大学出版局、2007年 本書は、これまでの北アイルランド紛争研究に、「ユニオニスト」と呼ばれる特定の政治的立場をとる集団に焦点を当てることで新しい視点を加えようとする、若手による研究書である。 専門の研究者による特定視角の学術書の側面を有しながらも、… トラックバック:0 コメント:0 2008年06月01日 続きを読むread more
「ユダヤ人」としてのアイデンティティを「国家」思想から引き剥がす思想形成の旅 ルティ・ジョスコヴィッツ『(増補新版)私のなかの「ユダヤ人」』(現代企画室、2007年) この本には、人がどこかの国の「国民」であるとはどういうことかについて書かれてあります。私たちは自分のことを「日本人」だと信じてめったに疑いませんが、そうことは単純ではないのだ、ということをこの本は気づかせてくれます。 ルティさん… トラックバック:0 コメント:0 2008年05月26日 続きを読むread more
マイノリティ/移住者/ディアスポラをめぐる総合的討議の記録ーー『ディアスポラと社会変容』 『ディアスポラと社会変容ーーアジア系・アフリカ系移住者と多文化共生の課題』 武者小路公秀 監修・浜邦彦・早尾貴紀 編、国際書院、2008年 海外からのメイン・パネリストに、ドゥドゥ・ディエン氏やリサ・ロウ氏を招き、国内ディスカッサントも各分野の若手研究者・活動家を招聘。コリアン・ディアスポラ、チャイニーズ・ディアスポラ… トラックバック:0 コメント:0 2008年05月24日 続きを読むread more
『現代思想 特集 隣の外国人ーー異郷に生きる』/ディアスポラ思想の新展開 『現代思想』(青土社)の2007年6月号の特集は、「隣の外国人ーー異郷に生きる」です。 これからいくつか、ディアスポラの思想に関する論集を紹介していきますが、これはその第一弾とも言える画期的な取り組みであったと思います。 私が、担当編者と相談しつつ企画に協力しました。友人関係も多く参加しています。 結果的には、… トラックバック:0 コメント:0 2008年05月23日 続きを読むread more
パレスチナ/イスラエルを語る画期的ナラティヴ――『イラン・パペ、パレスチナを語る』 イラン・パペ『イラン・パペ、パレスチナを語る ――「民族浄化」から「橋渡しのナラティヴ」へ』 (ミーダーン編訳、柘植書房新社、2008年) イスラエルのニューヒストリアンの旗手、イラン・パペによる日本講演集。また、日本語で最初の翻訳。 一方で実証史家として、1948年のイスラエル建国をシオニストによるパレス… トラックバック:0 コメント:0 2008年05月19日 続きを読むread more
イスラエル建国60年の思想的意味と「国民/民族」の行方ーー早尾貴紀『ユダヤとイスラエルのあいだ』 早尾貴紀、『ユダヤとイスラエルのあいだーー民族/国民のアポリア』、青土社、2008年 【一言コメント】 ちょうどイスラエル建国60年にこの本を出しました。 「ユダヤ人国家」とは何なのか、「パレスチナ問題」とは何なのかを、自分自身、根本から考え直そうと試みた一冊です。 たんなる現地ルポや時事論でもなく、あるい… トラックバック:0 コメント:0 2008年05月17日 続きを読むread more