井筒俊彦の著作集未収録のエッセイ集『読むと書く』

井筒俊彦『読むと書く――井筒俊彦エッセイ集』(慶応義塾大学出版会、2009年)

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 井筒俊彦氏は、本当に知の巨人だと思う。まさに古今東西の哲学・宗教・言語学を熟知した井筒氏の仕事を、○○研究者というかたちでカテゴライズすることは不可能だ。しかも、西洋思想も東洋思想も、いや、「西洋/東洋」の区分そのものを根底から問い直すような縦横無尽さ。研究者でもあるが、それにはとどまらず、むしろ一人の「思想家」と言ったほうがいいかもしれない。
 また実は、中央公論社から刊行された11巻+1の著作集がカバーしているのは日本語で書かれたもののみで、その他複数の外国語で書かれたものの方が量が多く(英語、アラビア語、ロシア語、などなど)、真の意味で「全集」を刊行することはほとんど不可能と言っていい。カナダおよびイランでそれぞれ5年間に及ぶ教授職をしていたあいだにも、多くの論考を生み出している。

 さて、本書は、その井筒氏が日本語で書いた小さな文章の「落ち穂拾い」である。中央公論社の著作集には入っていないエッセイ、しかも月報や書評やアンケートなどに寄せられた短いものが多い。それゆえ、難解とも言われがちな氏の著作に比せば、はるかに「読みやすい」。そうした意味で、帯の言葉にもあるように「井筒俊彦入門」にもなるのだろう。
 その落ち穂拾いがややマニアックな気もするが、本書が『著作集』再読のチャンスをもたらすものとなるならば、入門としての役割を果たすことになるだろう。

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読むと書く―井筒俊彦エッセイ集
慶應義塾大学出版会
井筒 俊彦

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