ギルロイをどう読むか――小笠原博毅編『黒い大西洋と知識人の現在』刊行と6月26日トークセッション

市田良彦+ポール・ギルロイ+本橋哲也著/小笠原博毅編、
『黒い大西洋(ブラック・アトランティック)と知識人の現在』、松籟社、2009年


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 画期的な書物、ポール・ギルロイ『ブラック・アトランティック――近代性と二重意識』(月曜社)の著者ギルロイを招き、討議し、読解した記録。本書の内容紹介は、松籟社のページに。
日本のカルチュラル・スタディーズを、徹底的にポストコロニアルの視点から鍛え上げてきた本橋哲也と、カルチュラル・スタディーズに対する最も容赦ない、しかし数少ない「まともな」批判者でありながら、決して離れきらずに伴走を続けてくれる市田良彦。限りなく射程の広い、壮大な跳躍をみせるそのディアスポラ理論の中心に、常に音楽を、うたを置いてきたポール・ギルロイと、ジャック・ランシエールを手がかりとしながら、ブルースを「プロレタリアの夜」のうたとして聴き込み、それを解釈体系化された文化から引き剥がそうとする市田良彦。世界十二カ国語以上に翻訳されているカルチュラル・スタディーズのパラダイム・メイカーの一人であるポール・ギルロイと、ポストコロニアル批評が単なる翻訳産業によってパッケージ化された言葉の商品ではなく、世界を現実的に生きるための手段であることを訴え続けてきた本橋哲也。それぞれの独自の言説世界が、それぞれに交接し合っている。その三人が、言葉を投げあい、共鳴させ、反響させる、これはそういう稀有な機会の記録であり、それを出発点として、「文化」をめぐる先鋭的な議論へと読者諸氏を誘うきっかけである。
「まえがき」より

 ギルロイの講演や討議が入り、また編者の長大な解説論考もあり、『ブラック・アトランティック』の読み方を深め広める副読本としても充実している。
 また、本書の刊行を記念して、明後日の6月26日に、ジュンク堂新宿店でトークセッションがあるらしい。
 以下、松籟社のサイトより案内の転載。
◎トークセッション
『「文化政治」は、もう終わったのか……?』

・日時:6月26日(金)、18:30~
・会場:ジュンク堂書店新宿店 8階カフェ
・入場料:1,000円(1ドリンクつき)
・受付:ジュンク堂書店新宿店7Fカウンターにて。
電話予約はジュンク堂書店新宿店(TEL.03-5363-1300)まで。

『黒い大西洋(ブラック・アトランティック)と知識人の現在』では、各著者がそれぞれの手がかりから、ポール・ギルロイの『ブラック・アトランティック』(月曜社)を読み解き、「文化」についての先鋭な議論が繰り広げられました。今回のトークセッションでは、本書の著者のおひとりである市田良彦さんと、『ブラック・アトランティック』の訳者のおひとりである上野俊哉さんをゲストにお招きして、まず市田さんから、『ブラック・アトランティック』を、どういった手がかりをもとに、いかに読み解いたかを、お話ししていただきます。対する上野さんには、市田さんへの応答とあわせて、『ブラック・アトランティック』や、今後紹介されるギルロイ氏の著作の重要性とインパクトについて語っていただきます。

《講師紹介》
市田良彦(いちだ・よしひこ)
1957年生まれ。神戸大学大学院国際文化学研究科教授。主な著書に『ランシエール』(白水社)、『闘争の思考』(平凡社)など。訳書にルイ・アルチュセール、『哲学・政治著作集』(全2巻、共訳、藤原書店)、ポール・ヴィリリオ、『速度と政治』(平凡社)などがある。

上野俊哉(うえの・としや)
1962年生まれ。和光大学表現学部教授。主な著書に、『ディアスポラの思考』(筑摩書房)、『アーバン・トライバル・スタディーズ』(月曜社)など。訳書にポール・ギルロイ、『ブラック・アトランティック』(共訳、月曜社)などがある。

《司会》
小笠原博毅(おがさわら・ひろき)
1968年生まれ。神戸大学大学院国際文化学研究科准教授。主な著書に『サッカーの詩学と政治学』(共著、人文書院)、『よくわかるメディア・スタディーズ』(共著、ミネルヴァ書房)など。訳書にジェームス・プロクター、『スチュアート・ホール』(青土社)などがある。


【追記】
 トークセッションのレポートが松籟社のサイトに掲載されました。
 こちらをご覧ください

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