詩人哲学者ドゥギーの全貌を示す画期的訳業――『愛着――ミシェル・ドゥギー選集』

ミシェル・ドゥギー『愛着――ミシェル・ドゥギー選集』、丸山誠司訳、書肆山田、2008年

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 ここ何回か、梅木達郎氏の業績に触れてきた。そのなかの、ミシェル・ドゥギーの『尽き果てることなきものへ』と、ドゥギー他の『崇高とは何か』の翻訳にも関連して。
 驚いたことに、ドゥギーの業績全体から精選された作品が、一冊にまとめられて翻訳刊行されたのだ。詩人でもあり哲学者でもあるドゥギーの仕事は、人間の思考の限界を、言語表現の限界にまで突き詰めるようなものだ。それゆえに、梅木氏の訳業は、翻訳の限界に挑むようなものであった。
 それを今回、丸山誠司さんというフランス現代詩の研究者が、「選集」という形で日本語化に挑み、届けてくださった。その労力は計り知れない。

 本書は、1960年の最初期の作品から2007年の最近の作品までがカバーしている。もちろん、多産なドゥギーの仕事をすべて網羅することは一冊では不可能だ。だが、10冊以上の本から、詩・試論、哲学的考察、宗教的考察、などなどを広く集めている。
 日本語も丁寧であり、訳注も詳しい。そして、末尾に訳者とドゥギーとのあいだの質疑応答が補遺として付されているのも興味深い。さらに巻末の訳者解説は、重厚な論文になっている。ドゥギーのテクストの内在的な読解だけでなく、ヘルダーリンやハイデガー、ニーチェやフロイト、ボードレール、そしてリオタールやデリダなどとの関係にも踏み込んでおり、総体的にドゥギーを理解できるようになっている。

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愛着―ミシェル・ドゥギー選集
書肆山田
ミシェル・ドゥギー

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