闘いつづける国際政治学者・武者小路公秀の人生――『人の世の冷たさ、そして熱と光』

武者小路公秀、『人の世の冷たさ、そして熱と光――行動する国際政治学者の軌跡』、部落解放人権研究所(編)、解放出版社、2003年

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 私個人としては、客員研究員を務めるアジア太平洋研究センター大阪経済法科大学の付属機関であるが、東京麻布台にある)の所長が武者小路氏であるという関係であり、研究員となった2004年頃からの付き合いです。
 著書では、岩波新書黄色版の国際政治入門的なもので知ったのが最初だったような気がしますが、世界恐慌の1929年生まれ、来年80歳。それにしても、武者小路氏といっしょに仕事をするようになって、その精力的な活動には驚かされます。「仙人」になって達観してしまわずに、なお地に足がついた粘り強い反戦・反差別運動へのコミットメントを続けているのです。
 今年は、そのアジア太平洋研究センターで武者小路氏とおこなった活動成果を、『ディアスポラと社会変容――アジア系・アフリカ系移住者と多文化共生の課題』(武者小路公秀 監修・浜邦彦・早尾貴紀 編、国際書院、2008年)として刊行しました。
 武者小路氏は、基調講演だけでなく、その博覧強記とバランス感覚でもって、随所で重要な発言をされました。彼なしには成立しえない一書であると同時に、武者小路氏と、私や浜さんら若い世代の、それぞれの人脈によって、地域・世代を越えた幅広い参加者を得ることのできた、稀有なコラボだったと自負しています。

 その武者小路氏の生まれ、幼少体験から、現在にいたるまでの思想形成の全過程をインタヴューで振り返ったのが、本書です。紹介文を転載します。

日独防共協定を調印した父、学徒出陣で亡くなった兄をもつ著者は、戦後、平和運動に参加。さらに、平和問題を掘り下げて社会矛盾を克服する方向に研究、活動を広げる。平和研究、環境・開発、第三世界との連帯、国連大学での壮絶な闘い、対話、グローバルネットワーク、そして人の世の冷たさを知る人びととの出会い。同時に、自らの過去を振り返りつつ、未来に向かって―特にこれから国際学を志す人びとへ力強く語りかける。


 ここ数年の直接の接点のなかで、耳にしていたこともありましたが、こうやって通読してみて、一人の人間(というか巨人)が体験してきたことの厚みと広がりに圧倒されました。
 先に紹介した『越境の時』の鈴木道彦氏が、奇しくも、同じ1929年生まれ。ともに来年80歳。アジア太平洋研究センターに鈴木さんを招いて、「反戦・反差別」という共通の信念について、二人の160歳対談でも企画してみたくなりました。

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