日本語で唯一のドルーズについての概説書ーー宇野昌樹『イスラーム・ドルーズ派』

宇野昌樹、『イスラーム・ドルーズ派ーーイスラーム少数派からみた中東社会』(中東パレスチナ選書)、第三書館、1996年

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 前の記事で、パレスチナの代表的な抵抗詩人で、かつマイノリティであるドルーズでもあるサミーハ・アル=カーシムの詩集を紹介しました。ダルウィーシュの旧友で、またダルウィーシュと双璧をなしたパレスチナの詩人です。
 ただ、「ドルーズ」とはいったい何者であるかについては、一般にはほとんど知られていないと思います。そこで紹介するのが、日本語の本で唯一と言えるドルーズについての概説書である本書です。ドルーズの歴史と現在について詳述しています。

 歴史的には、いまから一千年ほど前に、イスラームのシーア派一派でらうイスマーイール派から分派したとされますが、その独特の教義などからシーア派とみなされず、第三のイスラームとも言われます。シリア、レバノン、そして現在はイスラエル領となったパレスチナ北部のガリラヤ地方に主に住んでいます。
 ただ、シリア、レバノン、イスラエルのいずれにおいても圧倒的にマイノリティであるため、それぞれ独特の政治的ポジションをもっています。それゆえ、ただのマイノリティとして看過するわけにはいかず、逆にマイノリティの視点から地域を見直すと、いろいろな側面が見えてきます。

 私自身は、あくまでイスラエルのドルーズについてしか知りませんが、しかし、1948年にイスラエルが建国されてしまったことで、イスラエルとレバノンの国境地帯のドルーズがコミュニティが分断され、また67年にイスラエルがシリア領のゴラン高原を占領したことで、またドルーズのコミュニティが政治的・軍事的境界線で分断されました。ドルーズの置かれた状況をとおして、中東和平のことも考え直させられます。

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 前回もあげましたが、イスラエルのドルーズに関して私が書いた文章などのリンクを貼っておきます。


「こんな国とはオサラバだ!ーーイスラエルの中で、パレスチナ人であることの困難」
 
「ヘブライ大より21:入獄準備(兵役拒否)」
 
「ヘブライ大より25:イスラエル・アラブのアイデンティティ」
 
「スタッフノート:ドルーズの兵役拒否について」

「スタッフノート:映画『凧』ーー国境に分断されたドルーズ」

「ドルーズの良心的兵役拒否者(News from Within)」



イスラーム・ドルーズ派―イスラーム少数派からみた中東社会 (中東パレスチナ選書)
第三書館
宇野 昌樹

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