テーマ:民族問題

移動と越境から、国籍や民族や公共圏を問い直す、『国民国家の境界』(日本経済評論社)

加藤哲郎他編、『国民国家の境界ーー政治を問い直す1』(日本経済評論社、2010)  第3章を書かれた鳥山淳さんからご献本をいただきました。ありがとうございます。  同章は、戦中から戦後にかけての時代、すなわち、植民地とされた朝鮮・台湾が日本から切り離される一方で、沖縄が米軍統治下へと入れられることによって、「国民」の境界…
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フレドリクソン『人種主義の歴史』(李孝徳訳、みすず書房)と、その書評

ジョージ・M・フレドリクソン『人種主義の歴史』(李孝徳訳、みすず書房、2009年)  ヨーロッパのユダヤ教徒の人種化、植民地主義とともに生じた「黒人奴隷」、そしてナチスのホロコーストと、南アのアパルトヘイト。これらをレイシズムのイデオロギーとして、体系的に説明した好著。おそらく、文庫クセジュの『人種差別』(フランソワ・ド・…
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アイヌに関する二冊の重要書、佐々木昌雄『幻視する〈アイヌ〉』と榎森進『アイヌ民族の歴史』

佐々木昌雄『幻視する〈アイヌ〉』、草風館、2008年 榎森進『アイヌ民族の歴史』、草風館、2008年  草風館から近年刊行された、アイヌに関する二冊の重要書。  まずは、60年代から70年代にかけての短い期間にアイヌとして鋭い詩作と批評を展開し、どこかへ失踪した佐々木昌雄の全発言を集成した『幻視るする〈アイヌ〉』。とり…
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ベヴェニスティ氏との対談相手、上村英明氏の重要書、『先住民族の「近代史」』

上村英明『先住民族の「近代史」――植民地主義を超えるために』(平凡社、2001年)  まもなく来日のメロン・ベンヴェニスティ氏。その対談相手である上村英明氏の重要書がこれです。先に『知っていますか? アイヌ民族 一問一答』を紹介しましたが、こちらはアイヌだけに限定されず、世界の近代史における先住民族を扱っています。 …
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上村英明氏の『知っていますか? アイヌ民族 一問一答(新版)』ーーベンヴェニスティ氏対談相手の本

上村英明、『知っていますか? アイヌ民族 一問一答(新版)』、解放出版社、2008年  前回紹介のイスラエルの政治学者、メロン・ベンヴェニスティ氏の来日講演・対談企画のなかで、対談相手をされるアイヌ・先住民族研究者、上村英明氏のアイヌ入門書。1993年初版のものを新たに刊行。序文に故・萱野茂氏。  基本的な歴史・文化・政…
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今日の朝日新聞の書評で、サラ・ロイ『ホロコーストからガザへ』が取り上げられました

サラ・ロイ『ホロコーストからガザへ――パレスチナの政治経済学』 (岡真理、小田切拓、早尾貴紀=編訳、青土社、2009年、2600円)  年末に編訳・刊行した、サラ・ロイの本が、今日の朝日新聞の書評面で取り上げられました。評者は小杉泰氏。  コンパクトにポイントを紹介していただき、最後に、「編訳者の丁寧な解説もあって読み…
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追悼 弘中敦子さん:南アフリカ共和国の子どもたち『二匹の犬と自由――アパルトヘイト下の子どもたち』

南アフリカ共和国の子どもたち ほか『二匹の犬と自由――アパルトヘイト下の子どもたち』、日本反アパルトヘイト委員会=編訳、現代企画室、1989年  本書は、今年亡くなった知人の弘中敦子さん(日本反アパルトヘイト委員会のメンバーでした)の訳された本です。  さまざまな市民活動を地道に担われていた弘中さんは、あまり名前が出ない…
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アルメニアの民族「独立」をめぐってーー吉村貴之『アルメニア近現代史』(ユーラシアブックレット)

吉村貴之『アルメニア近現代史ーー民族自決の果てに』(ユーラシアブックレット、東洋書林、2009年)  以前紹介したことのある、『コーカサスを知るための60章』(明石書店、2006年)の共編者のひとりであり、また、臼杵陽[監修]『ディアスポラから世界を読む』にも「故郷を創るーーアルメニア近代史に見るナショナリズムとディアスポ…
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高齢の在日コリアン女性一世への生活史聞き取りの記録、『在日コリアン女性20人の軌跡』

かわさきのハルモニ・ハラボジと結ぶ2000人ネットワーク 生活史聞き書き・編集委員会(編)『在日コリアン女性20人の軌跡――国境を越え、私はこうして生きてきた』(明石書店、2009年)  工業地帯である川崎市の、つまり戦時中から多くの朝鮮人が労働に徴用された地域の在日朝鮮人の一世の女性たち、つまりもう80~90歳ぐらいの方…
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「世界史認識」と日本の政策まで広く深く問う――臼杵陽『イスラームはなぜ敵とされたのか』(青土社)

臼杵陽『イスラームはなぜ敵とされたのか――憎悪の系譜学』(青土社、2009年)  臼杵陽氏の最新刊。今年は、岩波新書『イスラエル』と、監修された『ディアスポラから世界を読む』(明石書店)につづいて、もう三冊目。ただでさえ忙しいでしょうに、加えて、ガザのことがあれば新聞や雑誌やテレビに引っ張られ、そうしたなかで精力的に重要な…
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臼杵監修/赤尾・早尾編『ディアスポラから世界を読む』合評会シンポジウムが盛況のうちに終了

臼杵陽(監修)/赤尾光春・早尾貴紀(編) 『ディアスポラから世界を読む――離散を架橋するために』 明石書店、2009年  26日に、臼杵陽(監修)/赤尾光春・早尾貴紀(編)『ディアスポラから世界を読む――離散を架橋するために』(明石書店)の合評会シンポジウムをしました。  たいへんな盛り上がりで、執筆者側もほぼ全員が…
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7月26日、臼杵陽編『ディアスポラから世界を読む――離散を架橋するために』合評会シンポジウム

臼杵陽(監修)/赤尾光春・早尾貴紀(編) 『ディアスポラから世界を読む――離散を架橋するために』 明石書店、2009年  先日刊行されたばかりの『ディアスポラから世界を読む――離散を架橋するために』の合評会シンポジウムが、今度の日曜日7月26日に東京で開催されます。ぜひご参加を!  評者には、移民研究・グローバリ…
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臼杵陽監修/赤尾光春・早尾貴紀編『ディアスポラから世界を読む』(明石書店)、ついに刊行!

臼杵陽(監修)/赤尾光春・早尾貴紀(編) 『ディアスポラから世界を読む――離散を架橋するために』 明石書店、2009年  二年前に同タイトルでワークショップをおこないました。そのときから論集化を前提として、完成度の高い報告・草稿と討議を積み重ねてきました。満を持しての刊行です。(担当の兵頭さん、ありがとうございました!…
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ジェンダー&エスニシティの複眼的視点から沖縄研究を再定義する、勝方=稲福恵子『おきなわ女性学事始』

勝方=稲福恵子、『おきなわ女性学事始』、新宿書房、2006年  今日の連続ティーチイン沖縄で宮城晴美さん講演をバックアップした早稲田大学 琉球・沖縄研究所の勝方=稲福恵子さんの著書で、沖縄研究をジェンダーとエスニシティの交差点から位置づける試み。  今日の講演も、家父長制が「集団自決」を引き起こした側面に焦点を当てていた…
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ロマ/ジプシーの「移動の痕跡」を音楽から辿る関口義人の二著、渾身のルポルタージュ

関口義人、『ジプシー・ミュージックの真実   ――ロマ・フィールド・レポート』、青土社、2005年 関口義人、『オリエンタル・ジプシー   ――音・踊り・ざわめき』、青土社、2008年  これまで、宋安鍾『在日音楽の100年』(青土社、2009年)や、平井玄『千のムジカ』(青土社、2009年)を紹介してきましたが、こ…
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ナショナリズムの来歴と行方について「公共圏」をキーワードに考える論集

佐藤成基(編)、『ナショナリズムとトランスナショナリズム――変容する公共圏』、法政大学出版局、2009年  知人が寄稿した論集なので紹介。知人は、第6章の鶴見太郎さんと第15章の岡野内正さん。  鶴見さんは、ロシア出自のシオニストたちが、いかにして「ユダヤ人」のネーション概念を発展させていったのかを、国際関係やパレスチナ…
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チェチェンの人びとの伝統的倫理を理解するために――『チェチェン民族学序説』

ムサー・アフマードフ著、 『チェチェン民族学序説  ――その倫理、規範、文化、宗教 = ウェズデンゲル』、   高文研、2009年   翻訳:今西昌幸、寄稿:林克明、編集:大富亮  大国ロシアに蹂躙されつづけるチェチェン共和国。本書は、そこに生きる人びとに伝わる倫理、しかしこの過酷な軍事侵攻・虐殺とそれに対する抵抗…
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共生、人権、市民権、多文化主義、マイノリティ、などの問題を考えるために――金泰明氏の二著

金泰明、 『マイノリティの権利と普遍的概念の研究――多文化的市民権と在日コリアン』(トランスビュー、2004年)、 『共生のための二つの人権論』(トランスビュー、2006年)  前回に引き続き、金泰明さんの著書を紹介。  彼には、博士論文を書籍化した『マイノリティの権利と普遍的概念の研究――多文化的市民権と在日コリア…
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パラムせんだいで金泰明さんとの対話集会(3月21日・仙台市)ーー金泰明『欲望としての他者救済』

金泰明『欲望としての他者救済』(NHKブックス、2008年)  以前紹介しました、『欲望としての他者救済』の著者、金泰明さんを仙台にお迎えして、対話集会を開催します。ご参加ください。 パラムせんだいの集い  人権思想・市民社会論の研究者   金泰明さんとの対話  人権の思想の研究をされている金泰明(きむ…
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排他的ナショナリズムのはざまで消滅したユダヤ人共同体の歴史――野村真理『ガリツィアのユダヤ人』

野村真理、『ガリツィアのユダヤ人――ポーランド人とウクライナ人のはざまで』、人文書院、2008年  「歴史家」野村真理氏の最新の著作である。最近になって、著者と面識ができたが、しかし、私自身の問題関心と野村さんの仕事との接点は、15年ほどさかのぼり、大学の学部生の頃から野村さんの仕事によって勉強させられてきたと言ってもいい…
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植民地支配が創り出した「民族」対立、そして煽られた虐殺――ゴーレイヴィッチ『ジェノサイドの丘』

フィリップ・ゴーレイヴィッチ、『虐殺の丘――ルワンダ虐殺の隠された真実』(上・下)、柳下毅一郎訳、WAVE出版、2003年  1994年、フツ系の政府軍とフツ人民兵らによって、ツチ人100万人が虐殺された。規模だけで言えば、第二次世界大戦中のホロコースと以来のものとなる。  しかし世界はこれを、「フツ族対ツチ族の部族争い…
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イスラエルのガザ侵攻に反対するイスラエル内の反シオニスト・グループ、「民主的行動機構」

刊行委員会編『パレスチナ/イスラエルの女たちは語る――オリーブがつくる平和へのオルタナティブ』、つげ書房新社、2002年  イスラエルのガザ侵攻のさなか、正月早々から、二つの記事を翻訳した。  ヤコブ・ベン・エフラート「ガザを支配するイスラエル」    ヤコブ・ベン・エフラート「ガザ戦争に対するイスラエルの責任」…
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アメリカ大統領選挙オバマ氏当選を期に人種問題を考える――『マルコムX事典』

ロバート・L・ジェンキンズ編著、『マルコムX事典』、荒このみ訳、雄松堂、2008年  アメリカ合衆国の大統領選挙、周知のように、史上初めてのアフリカ系のバラク・オバマ氏が当選した。  彼はしかし、アフリカ系を代表するのではなく(これはあらゆる候補について言えることだが)、「ホワイトも、ブラックもなく、ヒスパニックもアジア…
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闘いつづける国際政治学者・武者小路公秀の人生――『人の世の冷たさ、そして熱と光』

武者小路公秀、『人の世の冷たさ、そして熱と光――行動する国際政治学者の軌跡』、部落解放人権研究所(編)、解放出版社、2003年  私個人としては、客員研究員を務めるアジア太平洋研究センター(大阪経済法科大学の付属機関であるが、東京麻布台にある)の所長が武者小路氏であるという関係であり、研究員となった2004年頃からの付き…
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文学者として、日本人として、こだわりつづけた「民族問題」――鈴木道彦『越境の時』

鈴木道彦『越境の時――一九六〇年代と在日』(集英社新書、2007年)  昨年の刊行で、一部にはものすごく話題になった。僕もそのときにすぐに買って読んだ。  最近、ここで提起されている思想的課題に真っ正面から取り組もうという友人がいて、再読。それにしても、圧巻だ。  思想的課題というのは、「民族」というものをどのよう…
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ユダヤ人と宗教と国家をめぐる広範な論集『ユダヤ人と国民国家』

市川裕、臼杵陽、大塚和夫、手島勲矢(編)『ユダヤ人と国民国家――「政教分離」を再考する』岩波書店、2008年  本書は、古代から現代にいたるまで、それぞれの専門家がそれぞれの切り口で、ユダヤ人/ユダヤ教、と、民族/国家との関係をかなり広く考察したもの。なので、狭い意味で、現代の「国民国家」や「政教分離」との関係に縛られたも…
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オスロ合意直後に出たサイードの最重要時評集、15年後についに翻訳刊行!――『収奪のポリティックス』

エドワード・W・サイード、『収奪のポリティックス――アラブ・パレスチナ論集成1969-1994』、川田潤ほか訳、NTT出版、2008年  すでに、パレスチナ情報センターのサイトでも取り上げましたが(「オスロ合意から15年――エドワード・サイードの『収奪のポリティックス』を読もう」)、今度は、週刊読書人の10月24日号に書評…
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『季刊戦争責任研究61号』でパペの「橋渡しのナラティヴ」から学ぶ和解論批判

『季刊 戦争責任研究』第61号(2008年秋季号)   (日本の戦争責任資料センター、2008年) 『イラン・パペ、パレスチナを語る――「民族浄化」から「橋渡しのナラティヴ」へ』   (ミーダーン編訳、柘植書房新社、2008年)  日本の戦争責任資料センターで出している雑誌『季刊 戦争責任研究』の最新号61号に、早尾…
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坂口尚『石の花』、大型愛蔵版で登場――ナチス占領期ユーゴを舞台にした壮大なドラマ

坂口尚、『石の花』、講談社漫画文庫(全五冊、1996年)/光文社コミック叢書(全三冊、2008年)  早逝した漫画家で手塚治虫の弟子、坂口尚氏の最高傑作と言われる長篇漫画『石の花』。今年に入って、光文社コミック叢書として『坂口尚長篇作品選集』が大型愛蔵版で刊行され始めており、まずはこの『石の花』が全三冊で登場した。  第…
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