テーマ:戦争

この8月はこれを読もうーー高榮蘭『「戦後」というイデオロギー』(藤原書店)

高榮蘭『「戦後」というイデオロギーーー歴史/記憶/文化』(藤原書店、2010年)  8月に入り、原爆投下の日を過ぎ、終戦/敗戦の日が近づきつつあります。65年が過ぎ、もう「戦後」という言葉さえも薄れているのか。そしてそれとともに、日本人の思考も短絡が進んでいるように思います。  そんなときこそ本書を手に、暑い夏をじっくり…
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鳩山首相が退陣表明をして、沖縄の米軍基地問題は? 田仲康博『風景の裂け目ーー沖縄、占領の今』

田仲康博『風景の裂け目ーー沖縄、占領の今』、せりか書房、2010年  昨日、鳩山首相が退陣表明。支持率低下の原因の一つには、明らかに、沖縄の米軍基地移転問題への対応のまずさがあっただろう。迷走した挙げ句に自民党政権時代の案とほぼ変わらない案に落ち着いたことが、激しい失望と怒りを引き起こした。  人によっては、しかし、その…
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NHKドラマ化、司馬遼太郎『坂の上の雲』の問題点――半沢英一『雲の先の修羅』

半沢英一『雲の先の修羅――『坂の上の雲』批判』、東信堂、2009年  司馬遼太郎『坂の上の雲』のドラマ化が、昨晩からNHKで始まった。  この小説は、日清戦争から日露戦争にかけての時期を舞台としたものであり、この二つの戦争を「祖国防衛」の健全な戦争、とりわけ後者を、ロシア帝国主義との対決、あるいはヨーロッパ文明と…
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普天間基地移設問題、テレメンタリーで特集、『けーし風』で辺野古の環境アセス特集、民主は妥協

『新沖縄フォーラム 〈季刊〉 けーし風(かじ)』第64号(2009年9月)  特集:辺野古・環境アセスはいま  今朝の新聞に、沖縄のアメリカ軍普天間基地の移設問題について、民主党が国外・県外移設の公約を破棄し、辺野古案を踏襲する方向に転換したという記事が出ている。予想されたことではあるけども、社民との連立の意義も見直され…
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大江志乃夫氏の訃報に触れて――大江志乃夫『凩の時』など

大江志乃夫『凩の時』、筑摩書房1985年、ちくま学芸文庫1992年  歴史家の大江志乃夫氏が亡くなったという記事を見た。日本近代史の大家だ。  僕も多くを学ばせてもらった。本当に多くの仕事を残した人だったけれども、最大の一冊は、『日露戦争の軍事史的研究』(岩波書店、1976年)だろう。また立風書房から出した二冊、『東アジ…
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〈9・11〉から8年を期にもう一冊、ジルベール・アシュカル『中東の永続的動乱』つげ書房新社

ジルベール・アシュカル『中東の永続的動乱――イスラム原理主義、パレスチナ民族自決、湾岸・イラク戦争』、岩田敏行(編)、つげ書房新社、2008年  レバノン出身の国際政治学者、ジルベール・アシュカルの時事評論集。  2004年には『野蛮の衝突――なぜ21世紀は、戦争とテロリズムの時代になったのか?』(作品社)も翻訳刊行され…
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〈9・11〉から8年、変わらぬアメリカ――『アメリカン・ジハード:連鎖するテロのルーツ』

マフムード・マムダーニ『アメリカン・ジハード――連鎖するテロのルーツ』(越智道雄訳、岩波書店、2005年)  2001年のアメリカ・ニューヨークの〈9・11〉から8年。いろいろイベントも開かれたようですが、イラクとアフガニスタンでなおも続いている悲劇をどう考えればいいのでしょうか。オバマ政権になっても事態は何も変わっていま…
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福山雅治「被爆2世」告白とか、または映画化のテレビ放送で――こうの史代『夕凪の街 桜の国』再読

こうの史代『夕凪の街 桜の国』双葉社、2004年 こうの史代『この世界の片隅に(上・中・下)』双葉社、2008-09年  8月6日、そして9日を過ぎた。(6日には東琢磨『ヒロシマ独立論』を取り上げた。)  9日の長崎・原爆の日には、歌手・俳優の福山雅治氏(日ごろから長崎への郷土愛を隠さない)がラジオ番組で、父親が長崎で…
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原爆の日・8月6日に東琢磨『ヒロシマ独立論』(青土社)を読み直す 

東琢磨、『ヒロシマ独立論』、青土社、2007年8月6日  今日は広島に原爆が投下された1945年8月6日から64年目の2009年8月6日、「原爆の日」。  この日に読むのにうってつけの本がこれ、東琢磨さんの『ヒロシマ独立論』。二年前の原爆の日、2007年8月6日の刊行。  ただ毎年のように死者を追悼し、戦争を反省し、原…
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6月14日(日)ティーチイン沖縄で、宮城晴美さん講演――『新版 母の遺したもの』

宮城晴美、『新版 母の遺したもの――沖縄・座間味島「集団自決」の新しい事実』、高文研、2008年(初版2000年)  今度の日曜日6月14日に、以下に案内をつけましたように、連続ティーチイン沖縄が開催されます。  座間味島の「集団自決」における日本軍の責任、そしてとりわけ女性を「自決」へと追いやった純潔イデオロギーの問題…
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やっぱり100年以上は遡らないと――佐谷眞木人『日清戦争――「国民」の誕生』講談社現代新書

佐谷眞木人、『日清戦争――「国民」の誕生』、講談社現代新書、2009年  ヨーロッパ近代を考えるときに、ここのところ、ローゼンツヴァイクやヴェーバーに触れたときに、第一次世界大戦前後からの90年スパンぐらいで見ないと、いろいろなことがわからない、というようなことがしばしば言われます。  じゃあ日本は、と振り返ったときに、…
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藤井貞和、『湾岸戦争論』の続編、『言葉と戦争』(大月書店、2007年)

藤井貞和、『言葉と戦争』、大月書店、2007年  村上春樹のエルサレム賞受賞騒動に触れたためか、藤井貞和『湾岸戦争論』(1994)を紹介した記事はアクセス数がかなり多い。やはり村上春樹人気の煽りなのかしら。とはえい、僕のほうはと言えば、依然として村上にも、受賞騒動にも関心がない。忙しいし、ほかに読むべきものがいくらでもある…
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チェチェン問題でもっともコンパクトな入門書――大富亮『チェチェン紛争』

大富亮『チェチェン紛争』(ユーラシア・ブックレットno.94)、東洋書林、2006年  前回に続いてチェチェン関係。  パレスチナ関係でもよく言われることだけれども、「複雑すぎて何度聞いてもわからない」。  そんな人には、まずこの一冊。チェチェン総合情報の大富亮氏による、ブックレット『チェチェン紛争』、わずか60頁、6…
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村上春樹のエルサレム受賞騒ぎが一段落したあとに、藤井貞和『湾岸戦争論』を読み返す

藤井貞和、『湾岸戦争論――詩と現代』、河出書房新社、1994年  この1月に作家の村上春樹がイスラエルによるエルサレム賞を受賞して、行くのかボイコットするのかということが世間で話題になり、また結局行ったその授賞式のスピーチで、村上春樹がイスラエルを一定批判したけれども、それがよかったのか不十分だったのか、といったようなこと…
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サイード・アブデルワーヘド『ガザ通信』(青土社)、緊急出版

サイード・アブデルワーヘド、『ガザ通信』(岡真理+TUP訳、青土社、2009年)  12月末から1月中旬まで続いた、そしてその後も断続的に続くイスラエルのガザ地区攻撃のまっただなかから発信しつづけられた47通のメール。凄まじい空爆と陸上侵攻、理不尽に殺されていく近隣の人びとについて、生々しい言葉がつづられている。電気や水も…
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イラン・パペ、ガザを語る――1948年から見直すガザ攻撃

イラン・パペ『イラン・パペ、パレスチナを語る  ――「民族浄化」から「橋渡しのナラティヴ」へ』   (ミーダーン編訳、柘植書房新社、2008年)  イスラエルの反シオニストの歴史家で、二年前に来日し、重要な講演をしていったイラン・パペ(Ilan Pappe)。  パペは歴史家としての立場から、折々にパレスチナ/イスラ…
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「ガザ戦争」を期に「ハマスという選択」を再考する――エリック・アザン『占領ノート』の書評掲載

エリック・アザン、『占領ノート:一ユダヤ人が見たパレスチナの生活』、益岡賢訳、現代企画室、2008年 (制作協力:パレスチナ情報センター=安藤滋夫、ナブルス通信)  本書についてはここでも先に紹介しましたが、このたび『週刊読書人』の新年号に書評を掲載したので、再度取り上げます。  その書評では、4点にわたってコメン…
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闘いつづける国際政治学者・武者小路公秀の人生――『人の世の冷たさ、そして熱と光』

武者小路公秀、『人の世の冷たさ、そして熱と光――行動する国際政治学者の軌跡』、部落解放人権研究所(編)、解放出版社、2003年  私個人としては、客員研究員を務めるアジア太平洋研究センター(大阪経済法科大学の付属機関であるが、東京麻布台にある)の所長が武者小路氏であるという関係であり、研究員となった2004年頃からの付き…
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世代をまたぎ、本土とのあいだをまたぐ沖縄戦の記憶――目取真俊『風音』

目取真俊、『風音――The Crying Wind』、リトルモア、2004年  『虹の鳥』に続いてもう一冊、目取真俊の小説を紹介。  「風音」とは、風葬場に置かれた戦死した日本兵の頭蓋骨のなかを通り抜けるときに響く風の音だ。兵士は、本土から沖縄戦のときに来て墜落した特攻隊員。  物語は、この頭蓋骨と風葬場を軸に、沖縄と…
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沖縄に押しつけられ隅々にまで浸透した日常的な暴力の所在を描く目取真俊『虹の鳥』

目取真俊『虹の鳥』(影書房、2006年)  先に紹介した、黒澤亜里子・編『沖国大がアメリカに占領された日――8・13米軍ヘリ墜落事件から見えてきた沖縄/日本の縮図』(青土社、2005年)のなかには、編者・黒澤氏による「目取真俊『虹の鳥』論」が収録されている。この目取真氏の『虹の鳥』は、他の論者によってもあちこちで取り上げら…
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沖縄で米軍所有の航空機墜落――『沖国大がアメリカに占領された日』再読

黒澤亜里子・編『沖国大がアメリカに占領された日――8・13米軍ヘリ墜落事件から見えてきた沖縄/日本の縮図』、青土社、2005年  また沖縄でアメリカ軍所有の航空機が墜落炎上した。10月24日の夕方、小学校の近くのサトウキビ畑に墜落した(乗員は全員無事)。国道もすぐ側を通っている。そして例によって、地位協定を楯に、大破した機…
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『季刊戦争責任研究61号』でパペの「橋渡しのナラティヴ」から学ぶ和解論批判

『季刊 戦争責任研究』第61号(2008年秋季号)   (日本の戦争責任資料センター、2008年) 『イラン・パペ、パレスチナを語る――「民族浄化」から「橋渡しのナラティヴ」へ』   (ミーダーン編訳、柘植書房新社、2008年)  日本の戦争責任資料センターで出している雑誌『季刊 戦争責任研究』の最新号61号に、早尾…
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軍事化に抵抗するために、歴史的機知と情熱を伝える、道場親信『抵抗の同時代史』

道場親信、『抵抗の同時代史――軍事化とネオリベラリズムに抗して』、人文書院、2008年  大著『占領と平和――<戦後>という経験』(青土社、2005年)の著者である道場さんの第二論集。  前回、マサオ・ミヨシ『抵抗の場へ』を紹介したときに 、惑星主義へと超越することと地べたを這いずり回ることについて書いたが、…
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越境する知識人、マサオ・ミヨシのインタヴュー、『抵抗の場へ』

マサオ・ミヨシ、吉本光宏、『抵抗の場へ――あらゆる境界を越えるために マサオ・ミヨシ自らを語る』、洛北出版、2007年  前回取り上げた坂口尚『石の花』で、ふと本書を思い出した。  「石の花」というのは、この壮大な漫画の冒頭と結末で描かれる、何百年もかかって育った巨大な鍾乳石の石柱のことだ。表面にある無数の突起が石ででき…
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坂口尚『石の花』、大型愛蔵版で登場――ナチス占領期ユーゴを舞台にした壮大なドラマ

坂口尚、『石の花』、講談社漫画文庫(全五冊、1996年)/光文社コミック叢書(全三冊、2008年)  早逝した漫画家で手塚治虫の弟子、坂口尚氏の最高傑作と言われる長篇漫画『石の花』。今年に入って、光文社コミック叢書として『坂口尚長篇作品選集』が大型愛蔵版で刊行され始めており、まずはこの『石の花』が全三冊で登場した。  第…
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グルジアとロシアに挟まれた南オセチアの帰属問題ーーその背景的知識の確認のために

北川誠一、前田弘毅、廣瀬陽子、吉村貴之(編著)、『コーカサスを知るための60章』、明石書店、2006年  グルジア領内にある南オセチア共和国で、グルジアとロシアとのあいだで戦争状態になってから半月余。  ちなみに、北オセチア共和国は、国境を挟んでロシア側に。つまり、オセチアは二つの国家に別れているかたちになっています。 …
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若い世代が戦争/戦争体験者といかに出会い、向き合い、伝えるかーー『戦争への想像力』

小森陽一(監修)『戦争への想像力ーーいのちを語りつぐ若者たち』、新日本出版社、2008年  この夏8月、第二次世界大戦の終戦から63年。直接の戦争体験世代の証言がますます難しい状況になってきています。戦争の記憶は、いかに想起され、引き継がれていくのかというのは切実な課題ではありますが、近い将来確実に、証言者のいない戦争の記…
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「和解」を考えるための基礎としてーー小菅信子『戦後和解』

小菅信子『戦後和解ーー日本は〈過去〉から解き放たれるのか』、中公新書、2005年  朴裕河『和解のために』の大佛次郎論壇賞受賞が象徴するように、「和解」が流行っている。この問題については、尹慧瑛『暴力と和解のあいだ』を扱ったときにも触れたが、「対立と和解」という語り自体がひじょうに魅惑的であると同時に危険なものである(…
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「餓死した英霊たち」からの想像力ーー奥泉光『浪漫的な行軍の記録』

奥泉光『浪漫的な行軍の記録』講談社、2002年  実は奥泉光氏の小説を始めて読みました。  奥泉氏には、朝日新聞の書評欄で、拙著『ユダヤとイスラエルのあいだ』を取り上げてくださりました(書評の全文はここ)。奥泉氏が拙著を読んでいるのに、評された私が奥泉氏の本を読んだことがないというのも申し訳なく、書評へのお礼も兼ねて、氏…
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