テーマ:日本

裁判員、冤罪、死刑急増でどうする? 伊藤和子・寺中誠『裁判員と死刑制度』(新泉社)

伊藤和子・寺中誠『裁判員と死刑制度――日本の刑事司法を考える』(新泉社、2010年)  オビより つぎつぎと下される死刑判決、明らかになる冤罪事件、 その中での裁判員制度の施行……。 いま、この国の刑事司法は、どこへ向かおうとしているのか。 冤罪事件に精力的に取り組む弁護士、伊藤和子氏と アムネスティ・インターナ…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

徐京植『植民地主義の暴力ーー「ことばの檻」から』(高文研)とトークセッション

徐京植『植民地主義の暴力ーー「ことばの檻」から』高文研、2010年  徐京植さんの最新論文集。  目次詳細は、高文研のサイトに。  冒頭に、日本の植民地主義を直接的に論じた二本。とくに、「和解という名の暴力──朴裕河『和解のために』批判」は、僕も関わってきた和解論批判のなかで、現時点での集大成的な論考。僕にとっては…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

日本語で哲学するとは?――熊野純彦、『日本哲学小史――近代100年の20篇』(中公新書)

熊野純彦、『日本哲学小史――近代100年の20篇』(中公新書、2009年)  熊野さんと言えば、『西洋哲学史』(岩波新書)、『現代哲学の名著』(中公新書)、『和辻哲郎』(岩波新書)と、怒濤のごとく新書を編み続けていますが、今度はこれ。  今度すごいのは、福沢諭吉から始まり、西田や三木、和辻や九鬼を経て、戦後の市川浩や…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

藤澤健一編『反復帰と反国家――「お国は?」』/「独立、自立、自治」を問うシンポジウム(2月13日)

藤澤健一編『反復帰と反国家――「お国は?」』、社会評論社、2008年  以前にも紹介しました、「沖縄・問いを立てる」シリーズの第6巻。  「独立/自立/自治」シンポが近づいてきたので、再読。ここでも紹介いたします。 第6巻 反復帰と反国家――「お国は?」 藤澤健一編 1、〈無国籍地帯〉、奄美諸島(前利潔) 2、…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

日韓・在日の戦後思想をカバーする壮大な見取り図、そして和解論批判ーー尹健次『思想体験の交錯』

尹健次『思想体験の交錯――日本・韓国・在日 1945年以後』、岩波書店、2008年  年表・索引まで含めて500頁の大作ではあるが、文体・分析が明快で読みやすく、通読するのは難しくなかった。  すなわち、日本・韓国・在日朝鮮人にまたがる複雑な戦後思想史に対して、「見取り図」を与えるような書物である。 【もくじ】…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

丸川哲史『竹内好』(河出ブックス)とともに、『竹内好セレクション I・II』(日本経済評論社)を

丸川哲史・鈴木将久(編)『竹内好セレクション I・II』(日本経済評論社、2006年) 丸川哲史『竹内好ーーアジアとの出会い』(河出書房新社、2009年)  丸川さんの『竹内好ーーアジアとの出会い』(河出ブックス)が刊行されましたが、それとともに、ぜひとも丸川(編)『竹内好セレクション』全2冊をお読みください。  …
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

2月13日シンポ:「独立/自立/自治」を考えるーー沖縄、奄美、ヒロシマ

安里英子『凌辱されるいのちーー沖縄・尊厳の回復へ』、御茶の水書房、2008年 安里英子『沖縄・共同体の夢ーー自治のルーツを訪ねて』、榕樹書林、2002年 アジア太平洋研究センターディアスポラ研究会シンポジウム: 「「独立/自立/自治」を考えるーー沖縄、奄美、ヒロシマ」  アジア太平洋研究センター(東京麻布台/本校…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

ガザ虐殺を繰り返させないための共同声明ーーぜひご協力を!

サラ・ロイ『ホロコーストからガザへ――パレスチナの政治経済学』 (岡真理、小田切拓、早尾貴紀=編訳、青土社、2009年、2600円)  今日、12月27日は、イスラエルによる「ガザ戦争」開始からちょうど1年です。  しかし、目に見える大規模空爆でも怒らないかぎり、人びとの関心はすうーっと引いていきます。そしてまた虐殺が…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

NHKドラマ化、司馬遼太郎『坂の上の雲』の問題点――半沢英一『雲の先の修羅』

半沢英一『雲の先の修羅――『坂の上の雲』批判』、東信堂、2009年  司馬遼太郎『坂の上の雲』のドラマ化が、昨晩からNHKで始まった。  この小説は、日清戦争から日露戦争にかけての時期を舞台としたものであり、この二つの戦争を「祖国防衛」の健全な戦争、とりわけ後者を、ロシア帝国主義との対決、あるいはヨーロッパ文明と…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

テクストの危うさや錯誤までをも読み解く、熊野純彦『和辻哲郎――文人哲学者の軌跡』岩波新書

熊野純彦『和辻哲郎――文人哲学者の軌跡』岩波新書、2009年  多産な熊野純彦氏の最新著。近年岩波文庫に入った和辻哲郎『倫理学(全四分冊)』に書かれた「解説」をベースにしつつ、しかし事実には書き下ろしに近い和辻哲郎についてのモノグラフ。  僕は学生時代には、世代的にも必然的なのかもしれないけれども、米谷正匡氏や高橋哲…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

大江志乃夫氏の訃報に触れて――大江志乃夫『凩の時』など

大江志乃夫『凩の時』、筑摩書房1985年、ちくま学芸文庫1992年  歴史家の大江志乃夫氏が亡くなったという記事を見た。日本近代史の大家だ。  僕も多くを学ばせてもらった。本当に多くの仕事を残した人だったけれども、最大の一冊は、『日露戦争の軍事史的研究』(岩波書店、1976年)だろう。また立風書房から出した二冊、『東アジ…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

政権交代・新内閣って言うけれど――『季刊ピープルズ・プラン』最新47号「日本国家はどこへ向かうのか」

『季刊ピープルズ・プラン』47号(2009年夏号)特集「日本国家はどこへ向かうのか」  民主党が大勝した衆院選が終わり、今日にも現麻生内閣が総辞職し、鳩山新内閣が発足。政権交代だ、チェンジだって言うけれど、いったい何が変わるのか。結局変わらないアメリカの中東政策のようなことになるのか。  ピープルズ・プラン研究所の刊行し…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

〈8・15〉で終わったわけではない――終戦記念日に加藤聖文『「大日本帝国」崩壊』を読む

加藤聖文『「大日本帝国」崩壊――東アジアの1945年』、中公新書、2009年  1945年8月15日から64年目の終戦記念日。平和を願っての不戦の誓いが繰り返された。「戦争の惨禍を忘れません」と。  だけれども、〈8・15〉ばかりが語られるときに、実は「植民地帝国日本」の領域とは何だったのか、そこで何が起きたのかは、かえ…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

地域の独立/自立を考える――喜山荘一『奄美自立論――四百年の失語を越えて』(南方新社)

喜山荘一『奄美自立論――四百年の失語を越えて』南方新社、2009年  先の記事で、東琢磨さんの『ヒロシマ独立論』(青土社)を取り上げました。  東さんは、沖縄の反復帰運動を参照しつつ、思考の可能性として、ヒロシマ独立、つまり国家に纂奪されたヒロシマを取り戻すことを提起されました。  今度紹介したいのは、喜山荘一さん…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

これも「残傷」を聞き読み語る試み――金石範を囲むシンポジウムの記録『異郷の日本語』

金石範、崔真碩、佐藤泉、片山宏行、李静和 『異郷の日本語』、社会評論社、2009年  青山学院大学の日本文学科でおこなわれたシンポジウムの記録を一冊にまとめたものだ。  参加メンバーを見てわかるように、先に紹介した李静和編『残傷の音――「アジア・政治・アート」の未来へ』とも深く呼応する企画だと感じた。崔真碩さん、佐藤泉…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

生老病死を通じた「共生」を主眼とした移民政策論――『移民政策へのアプローチ』

川村千鶴子・近藤敦・中本博皓(編)、『移民政策へのアプローチ――ライフサイクルと多文化共生』、明石書店、2009年  第一部は、編者三人による導入。川村「なぜライフサイクルなのか」、近藤「移民政策」、中本「人口減少と外国人労働者」。  第二部が「移民の人生――ライフサイクルにそった多文化共生論」  ・ともに生まれる …
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

現代日本の哲学者に対する明晰かつ誠実な読解の試み――勝守真『現代日本哲学への問い』

勝守真、『現代日本哲学への問い――「われわれ」とそのかなた』、勁草書房、2009年  廣松渉、大森荘蔵、永井均、高橋哲哉、4人の哲学書を、徹底的に論理的に読解することで、その論理の振幅のなかに、著者の意図を超えた可能性を読み込もうという試み。きわめて明晰かつ誠実な読解の実践であり、快著だと思います。  著者は、いわゆ…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

やっぱり100年以上は遡らないと――佐谷眞木人『日清戦争――「国民」の誕生』講談社現代新書

佐谷眞木人、『日清戦争――「国民」の誕生』、講談社現代新書、2009年  ヨーロッパ近代を考えるときに、ここのところ、ローゼンツヴァイクやヴェーバーに触れたときに、第一次世界大戦前後からの90年スパンぐらいで見ないと、いろいろなことがわからない、というようなことがしばしば言われます。  じゃあ日本は、と振り返ったときに、…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

底辺から見続けた記録文学作家・上野英信――満州、ヒロシマ、炭坑、南米移民

川原一之、『闇こそ砦――上野英信の軌跡』、大月書店、2008年  筑豊炭田に生きた記録文学作家・上野英信。もっとも有名なのは、岩波新書の『追われゆく坑夫たち』と『地の底の笑い話』だろうか。  その上野英信の伝記が刊行された。生前の上野英信と親交があり、同じく記録文学者である川原一之氏が、個人的な親交も交えた描いた半生だ。…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

日系移民理解の必読書/ジュニア新書と思えぬ充実した入門書――高橋幸春『日系人の歴史を知ろう』

高橋幸春、『日系人の歴史を知ろう』、岩波ジュニア新書、2008年  岩波ジュニア新書では、ときどき「名著」が生まれる。川北稔『砂糖の世界史』などはそうした一冊だ。いまどきの中高生にすんなり読めるかどうかはさておき、しかしそうした層から読めることを念頭において論述された入門書で、しかし内容や質を落とさずに伝えることに成功して…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

文学者として、日本人として、こだわりつづけた「民族問題」――鈴木道彦『越境の時』

鈴木道彦『越境の時――一九六〇年代と在日』(集英社新書、2007年)  昨年の刊行で、一部にはものすごく話題になった。僕もそのときにすぐに買って読んだ。  最近、ここで提起されている思想的課題に真っ正面から取り組もうという友人がいて、再読。それにしても、圧巻だ。  思想的課題というのは、「民族」というものをどのよう…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

精神病と社会について具体的に考えるために――猪俣好正『こころに病をもつ人びとへ』

猪俣好正『こころに病をもつ人びとへ』七つ森書館、2008年  著者は、私の地元宮城県の県立精神医療センターに務める精神科医。この方とは個人的な面識はないものの、このお連れ合いさんが、仙台の市民活動なども活発にされており、そこではごいっしょしたりお世話になったこともありました。そういうこともあって買った一冊。  現代日…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

軍事化に抵抗するために、歴史的機知と情熱を伝える、道場親信『抵抗の同時代史』

道場親信、『抵抗の同時代史――軍事化とネオリベラリズムに抗して』、人文書院、2008年  大著『占領と平和――<戦後>という経験』(青土社、2005年)の著者である道場さんの第二論集。  前回、マサオ・ミヨシ『抵抗の場へ』を紹介したときに 、惑星主義へと超越することと地べたを這いずり回ることについて書いたが、…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

それは1995年に始まった(?)ーー『オルタ』08年9-10月号で現代日本を再考する

『オルタ』2008年9-10月号、特集「1995ーーあの年、なにがあったのか。」  リニューアル創刊した『オルタ』(PARC刊)の最新号が出ました。目次詳細は、こちら。  まずは特集の前に、このあいだの反G8デモで逮捕された「イルコモンズ」の小田マサノリ氏と、救援活動にあたった「素人の乱」の松本哉氏との対談があります…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

ブラジル移民100年ーー日本の移民政策の隠された歴史と翻弄された人びとを描く長篇小説『移民の譜』

麻野涼、『移民の譜(うた)ーー東京・サンパウロ殺人交点』、徳間文庫、2008年  1908年6月18日に第1回のブラジル移民船が出てから、ちょうど100年になる。この本は、それを期にして、文庫化されたものだ(原題『天皇の船』文藝春秋、2000年)。  戦前の意味は、貧困な農村の人減らしが多かったが、戦後直後は戦地・植…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

北方先住民から日本の近代化を問い直すーーテッサ・モーリス=スズキ『辺境から眺める』

テッサ・モーリス=鈴木、『辺境から眺めるーーアイヌが経験する近代』、大川正彦訳、みすず書房、2000年  この6月に日本政府・国会が初めて、アイヌを「先住民」として認めました。このたったの一歩のためでさえ、あまりに長い時間がかかりました。  萱野茂氏の尽力で、1997年にようやく「北海道旧土人保護法」が廃止され、代わりに…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

「餓死した英霊たち」からの想像力ーー奥泉光『浪漫的な行軍の記録』

奥泉光『浪漫的な行軍の記録』講談社、2002年  実は奥泉光氏の小説を始めて読みました。  奥泉氏には、朝日新聞の書評欄で、拙著『ユダヤとイスラエルのあいだ』を取り上げてくださりました(書評の全文はここ)。奥泉氏が拙著を読んでいるのに、評された私が奥泉氏の本を読んだことがないというのも申し訳なく、書評へのお礼も兼ねて、氏…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

戊辰戦争は「東北独立戦争」だったーー維新史観とは異なるもう一つのナラティヴ

星亮一『仙台戊辰戦史ーー北方政権を目指した勇者たち』三修社、2005年  日本国家の基礎の樹立、近代化の発端と言えば、誰もが「明治維新」と答えるでしょう。  でも、東北地方から、とくに仙台や会津から見れば、薩長を中心とした維新軍は侵略と殺戮の軍隊。戊辰戦争は、「奥羽征伐」の戦争でした。  ところが、会津の隣の郡山に生ま…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

地域が国家を超えるときーー移民社会・多文化社会はすでに現実である

川村千鶴子(編著)『 「移民国家日本」と多文化共生論ーー多文化都市・新宿の深層』明石書店、2008年    先の『ディアスポラと社会変容』と『現代思想 隣の外国人』に続く、ディアスポラ論集第三弾、といったところでしょうか。多文化社会研究会を主宰する、友人の川村千鶴子さんによる編集の論文集です。  編者の川村さんと執筆者の…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more