テーマ:文学

この8月はこれを読もうーー高榮蘭『「戦後」というイデオロギー』(藤原書店)

高榮蘭『「戦後」というイデオロギーーー歴史/記憶/文化』(藤原書店、2010年)  8月に入り、原爆投下の日を過ぎ、終戦/敗戦の日が近づきつつあります。65年が過ぎ、もう「戦後」という言葉さえも薄れているのか。そしてそれとともに、日本人の思考も短絡が進んでいるように思います。  そんなときこそ本書を手に、暑い夏をじっくり…
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在日朝鮮人文学の起源をあらためて探る、ヂンダレ研究会『「在日」と50年代文化運動』(人文書院)

ヂンダレ研究会編、『「在日」と50年代文化運動ーー幻の雑誌『ヂンダレ』『カリオン』を読む』(人文書院、2010年)  不二出版から復刻刊行された『ヂンダレ・カリオン』(全3巻/別冊1)をもとにしたシンポジウムの記録に、さらに論考と資料を加えて一冊に。  シンポは、復刻に当たった細見和之氏の司会のもとに、若い世代の研究者や…
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丸川哲史氏の台湾関係の重要書二冊(明石書店、台湾研究叢書)

丸川哲史『台湾における脱植民地化と祖国化――二・二八事件前後の文学運動から』明石書店、2007年 陳千武『台湾人元日本兵の手記 小説集『生きて帰る』』丸川哲史訳、明石書店、2008年  前回、丸川さんの新刊『台湾ナショナリズム』を紹介しました。その根底には、ここ数年で丸川さんが関わって出されている、台湾研究叢書(いまのと…
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ユダヤ人、ホロコースト、イスラエル、、、『プリーモ・レーヴィは語る』

マルコ・ベルポリーティ編『プリーモ・レーヴィは語る――言葉・記憶・希望』多木陽介訳、青土社、2002年  最近、サラ・ロイの『ホロコーストからガザへ』の重版が出たので、重版にあたって文章をチェックしながら再読。そこでロイと対談をしている徐さんが論及していた、プリーモ・レーヴィ最後のインタヴューが収録されているのがこれ。 …
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注目の演劇の試み! ハロルド・ピンター追想公演+豪華アフタートーク

Pithecanthropus Effectus+Uranachiによる、 「おとなしい給仕―ハロルド・ピンター"The Dumb Waiter"より―」(2月19、20、21日@大阪)  ハロルド・ピンター(1930-2008年)と『何も起こりはしなかった』については、以前紹介しました。  今回は、そのピンターの…
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パレスチナ/アラブという現場から、文学の(無)力について――岡真理『アラブ、祈りとしての文学』

岡真理『アラブ、祈りとしての文学』、みすず書房、2008年  サラ・ロイ『ホロコーストからガザへ』(青土社)の共編訳者でもある、岡真理さんのアラブ文学論です。とりわけ、パレスチナおよびジェンダーに軸足を強く置いています。各章ごとの主題も明確で、かつ、とても読みやすい文体ですので、一気に読めます。そもそもが書き下ろしの一冊と…
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植民地期~分断独立期の朝鮮近代文学、金起林『朝鮮文学の知性 金起林』(青柳優子編訳)

金起林(著)/青柳優子(編訳・解説) 『朝鮮文学の知性 金起林』(新幹社、2009年)  約100年前の1908年に朝鮮生まれ、植民地時代に日本でも7年過ごした作家・詩人・批評家、金起林の初の日本語著作集。画期的訳業です!  1926~29年(18~21歳)に東京・日本大学、36~39年(28~31歳)に仙台・東北大学…
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ノーベル賞劇作家ハロルド・ピンターの発言集『何も起こりはしなかった――劇の言葉、政治の言葉』

ハロルド・ピンター『何も起こりはしなかった――劇の言葉、政治の言葉』、貴志哲雄(編訳)、集英社新書、2007年  ハロルド・ピンター(1930-2008年)は、ユダヤ人の家系でロンドンに生まれた。舞台俳優であり劇作家であり、その「ピンタレスク」という言葉も生み出した独特の作風は不条理演劇の代表と目された。そして生涯、政治的…
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ささやかな追悼の気持ちを込めて再読――村山敏勝『(見えない)欲望に向けて』(人文書院)

村山敏勝『(見えない)欲望に向けて――クィア批評との対話』(人文書院、2005年)  僕が村山敏勝さんと知り合ったのは、李静和さんの「アジア・政治・アート」のプロジェクトででした。彼は、ある意味「畑違い」のそのプロジェクトを、楽しそうに支えていました。畑違いと言えば、そこに参加していた僕もそうなのですが。  ともあれ、そ…
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東アジアの「コロニアル文学」の画期的翻訳――崔真碩訳『李箱作品集成』

李箱・著、崔真碩・翻訳、『李箱作品集成』、作品社、2006年  『残傷の音』に「影の東アジア――沖縄、台湾、そして朝鮮」、そして『異郷の日本語』に「「ことばの呪縛」と闘う――翻訳、芝居、そして文学」という貴重な文章を寄せている崔真碩さんによる労作翻訳業。  日本の植民地支配下にあった朝鮮・京城に生まれ育ち、晩年に宗主…
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これも「残傷」を聞き読み語る試み――金石範を囲むシンポジウムの記録『異郷の日本語』

金石範、崔真碩、佐藤泉、片山宏行、李静和 『異郷の日本語』、社会評論社、2009年  青山学院大学の日本文学科でおこなわれたシンポジウムの記録を一冊にまとめたものだ。  参加メンバーを見てわかるように、先に紹介した李静和編『残傷の音――「アジア・政治・アート」の未来へ』とも深く呼応する企画だと感じた。崔真碩さん、佐藤泉…
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重要な栗本薫論、石田美紀『密やかな教育――〈やおい・ボーイズラブ〉前史』――栗本薫の訃報に触れて

石田美紀、『密やかな教育――〈やおい・ボーイズラブ〉前史』、洛北出版、2008年  作家・評論家の栗本薫/中島梓が亡くなった。  新聞各紙は、訃報や追悼文を掲載し、一様に、シリーズ100巻を越え未完に終わった『グイン・サーガ』のことばかりに触れている。  けれども、栗本薫/中島梓については、振り返って再評価すべき事柄が…
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詩人哲学者ドゥギーの全貌を示す画期的訳業――『愛着――ミシェル・ドゥギー選集』

ミシェル・ドゥギー『愛着――ミシェル・ドゥギー選集』、丸山誠司訳、書肆山田、2008年  ここ何回か、梅木達郎氏の業績に触れてきた。そのなかの、ミシェル・ドゥギーの『尽き果てることなきものへ』と、ドゥギー他の『崇高とは何か』の翻訳にも関連して。  驚いたことに、ドゥギーの業績全体から精選された作品が、一冊にまとめられて翻…
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隠れた名ジュネ論、梅木達郎『放浪文学論――ジャン・ジュネの余白に』

梅木達郎、『放浪文学論――ジャン・ジュネの余白に』、 東北大学出版会、1997年  また梅木さんについて。  彼は、デリダと、そしてジュネに没頭していた。ジュネのなかに、重要な主題を抉る視角をたくさん見いだしていた。国家、民族、家族、性、暴力、記憶、アイデンティティ。ジュネのテクストは、それらを取り上げてみては、次々と…
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藤井貞和、『湾岸戦争論』の続編、『言葉と戦争』(大月書店、2007年)

藤井貞和、『言葉と戦争』、大月書店、2007年  村上春樹のエルサレム賞受賞騒動に触れたためか、藤井貞和『湾岸戦争論』(1994)を紹介した記事はアクセス数がかなり多い。やはり村上春樹人気の煽りなのかしら。とはえい、僕のほうはと言えば、依然として村上にも、受賞騒動にも関心がない。忙しいし、ほかに読むべきものがいくらでもある…
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村上春樹のエルサレム受賞騒ぎが一段落したあとに、藤井貞和『湾岸戦争論』を読み返す

藤井貞和、『湾岸戦争論――詩と現代』、河出書房新社、1994年  この1月に作家の村上春樹がイスラエルによるエルサレム賞を受賞して、行くのかボイコットするのかということが世間で話題になり、また結局行ったその授賞式のスピーチで、村上春樹がイスラエルを一定批判したけれども、それがよかったのか不十分だったのか、といったようなこと…
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沖縄をめぐる文学・思想論の最重要書――新城郁夫『到来する沖縄』

新城郁夫、『到来する沖縄――沖縄表象批判』、インパクト出版会、2007年  前回紹介のシリーズ『沖縄・問いを立てる』(社会評論社)の編者の一人である新城郁夫氏の二冊目の単行本。一冊目は、『沖縄文学という企て――葛藤する言語・身体・記憶』(インパクト出版会、2003年)。  著者は、日本と/の沖縄の問題を、重層的にかつ…
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