テーマ:哲学/思想

上山安敏『ブーバーとショーレム――ユダヤの思想とその運命』岩波書店

上山安敏『ブーバーとショーレム――ユダヤの思想とその運命』岩波書店、2009年  先日初めて、あるシンポジウムで著者にお目にかかりました。ご高齢にもかかわらず、というか、年齢を感じさせない、旺盛な学究心と執筆力に感服しました。  本書は、私の『ユダヤとイスラエルのあいだ』(青土社)の問題意識と強く重なるものです。が、本書…
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井筒俊彦の著作集未収録のエッセイ集『読むと書く』

井筒俊彦『読むと書く――井筒俊彦エッセイ集』(慶応義塾大学出版会、2009年)  井筒俊彦氏は、本当に知の巨人だと思う。まさに古今東西の哲学・宗教・言語学を熟知した井筒氏の仕事を、○○研究者というかたちでカテゴライズすることは不可能だ。しかも、西洋思想も東洋思想も、いや、「西洋/東洋」の区分そのものを根底から問い直すような…
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3月5日は梅木達郎さんの命日です

梅木達郎、『支配なき公共性ーーデリダ・灰・複数性』、洛北出版、2005年、他  2005年に梅木さんが亡くなってから5年が経ちました。ミシェル・ドゥギーの来日のお知らせもありましたし、まだまだ梅木さんの仕事は呼び起こされますし、実はこれからも梅木さんの残した翻訳が刊行されるのを待っているものがあります。生きていたなら、もっ…
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ミシェル・ドゥギー氏来日、講演・詩朗読など(3月17~19日、東京、仙台、福岡)

ミシェル・ドゥギー『愛着――ミシェル・ドゥギー選集』、丸山誠司訳、書肆山田、2008年 ミッシェル・ドゥギー、『尽き果てることなきものへ――喪をめぐる省察』、梅木達郎訳、松籟社、2000年  以前にも紹介したことのある、『愛着――ミシェル・ドゥギー選集』(丸山誠司訳)の刊行を契機に、著者のドゥギー氏が来日!  3月17…
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日本語で哲学するとは?――熊野純彦、『日本哲学小史――近代100年の20篇』(中公新書)

熊野純彦、『日本哲学小史――近代100年の20篇』(中公新書、2009年)  熊野さんと言えば、『西洋哲学史』(岩波新書)、『現代哲学の名著』(中公新書)、『和辻哲郎』(岩波新書)と、怒濤のごとく新書を編み続けていますが、今度はこれ。  今度すごいのは、福沢諭吉から始まり、西田や三木、和辻や九鬼を経て、戦後の市川浩や…
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【ディアスポラの理論と思想を考える11冊】――ブックリスト・7/7

【ディアスポラの理論と思想を考える11冊】/「ディアスポラ」から世界を読み直すためのブックリスト・増補改訂の77冊  「ディアスポラ」から世界を読み直すためのブックリスト・増補改訂の77冊の最後、11冊×7セットの7回目は、【ディアスポラの理論と思想を考える11冊】です。紀伊国屋書店新宿南店でやっているブックフェアは明日で…
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テクストの危うさや錯誤までをも読み解く、熊野純彦『和辻哲郎――文人哲学者の軌跡』岩波新書

熊野純彦『和辻哲郎――文人哲学者の軌跡』岩波新書、2009年  多産な熊野純彦氏の最新著。近年岩波文庫に入った和辻哲郎『倫理学(全四分冊)』に書かれた「解説」をベースにしつつ、しかし事実には書き下ろしに近い和辻哲郎についてのモノグラフ。  僕は学生時代には、世代的にも必然的なのかもしれないけれども、米谷正匡氏や高橋哲…
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「政権」交代騒ぎのなかで、また千葉景子法務大臣就任のなかで、『主権のかなたで』(鵜飼哲)を読み返す

鵜飼哲、『主権のかなたで』、岩波書店、2008年  世の中は、政権交代、鳩山新内閣発足で、騒がしくなっています。  ちょっと注目は、千葉景子氏の法務大臣就任。死刑廃止を持論とする方で、アムネスティ議員連盟の事務局長でもあります。バリバリの社会党出身者で、どうしてこんな人事がありえたのか不思議でもありますが、知人に言わせた…
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異形の哲学――アルフォンソ・リンギス『汝の敵を愛せ』『何も共有していない者たちの共同体』(洛北出版)

◆アルフォンソ・リンギス『汝の敵を愛せ』、中村裕子訳、洛北出版、2004年 ◆アルフォンソ・リンギス『何も共有していない者たちの共同体』、野谷啓二訳、洛北出版、2006年  引き続き、洛北出版の本を紹介。出版社立ち上げの最初の一冊がこれでした。  リンギスはその後、洛北でもう一冊訳され、また河出書房と青土社からもそ…
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マウリツィオ・ラッツァラート『出来事のポリティクス――知-政治と新たな協働』洛北出版

マウリツィオ・ラッツァラート『出来事のポリティクス――知-政治と新たな協働』、村澤真保呂・中倉智徳訳、洛北出版、2008年  先に紹介した廣瀬純『シネキャピタル』(洛北出版)と合わせて読みたいのが、同じ洛北出版から刊行された二つ。一つがすでに紹介をしましたジョック・ヤング『排除型社会』。もう一つがコレ。  注目のイタリア…
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廣瀬純:人文系入門書選書フェア「死ねキャピタル!」――廣瀬純『シネキャピタル』洛北出版

廣瀬純、『シネキャピタル』、洛北出版、2009年  洛北出版ブログによると、新宿西口ブックファーストにて、廣瀬純・人文系入門書選書フェア「死ねキャピタル!」を実施中とのこと。今度行ってみよう。  先に開催された京都ブックファーストでの廣瀬純選書フェア「先走りしようぜ!」については、ウラゲ☆ツブログに写真あり。  本…
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錚々たる知識人たちのインタヴュー集――『グローバル権力から世界を取り戻すための13人の提言』

ネルミーン・シャイク『グローバル権力から世界を取り戻すための13人の提言』、篠儀直子訳、青土社、2009年  現在のグローバル化や新帝国主義に対抗するためのアイディア・視角を提供する。  目次(インタヴューを受けた人の一覧)を見るだけでも、すごい面々。 第1部 グローバル経済 1. アマルティア・セン 2. ヘレナ…
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季刊『環』(藤原書店)にローゼンツヴァイク『救済の星』の書評を書きました

◆『〔学芸総合誌・季刊〕 環』(藤原書店)Vol.38  特集:「プラスチック・ワード」とは何か ◆フランツ・ローゼンツヴァイク、『救済の星』、  村岡・細見・小須田=訳、みすず書房、2009年  季刊誌『環』の最新号(38号)に、フランツ・ローゼンツヴァイク『救済の星』(みすず書房)の書評を書きました。  長文の…
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スペイン語圏文化・文学研究から紡ぎだす「もう一つの言説実践」――杉浦勉『霊と女たち』

杉浦勉、『霊と女たち』、インスクリプト、2009年  本書は、一年前に急逝されたスペイン語圏文化研究者、杉浦勉氏の死後編集の論文集だ。  死後編集でありながら、慕っていた友人らが、いかにも遺稿集という形にせずに、一冊の完結した書物として編纂されている。この編集方針は、梅木達郎『支配なき公共性』(洛北出版)を彷彿とさせる。…
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臼杵監修/赤尾・早尾編『ディアスポラから世界を読む』合評会シンポジウムが盛況のうちに終了

臼杵陽(監修)/赤尾光春・早尾貴紀(編) 『ディアスポラから世界を読む――離散を架橋するために』 明石書店、2009年  26日に、臼杵陽(監修)/赤尾光春・早尾貴紀(編)『ディアスポラから世界を読む――離散を架橋するために』(明石書店)の合評会シンポジウムをしました。  たいへんな盛り上がりで、執筆者側もほぼ全員が…
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村山敏勝さんの最後の仕事――『現代思想』臨時増刊「ジュディス・バトラー」

『現代思想』臨時増刊「総特集 ジュディス・バトラー――触発する思想」(青土社、2006年10月)  また村山敏勝さんの追悼記事になります。  『現代思想』のこの総特集号は、彼の最後の活字仕事だったかもしれません。これが刷り上がって執筆者に配達された日に彼は倒れました。現物を手にしたかどうか、おそらく届く前だったかもしれま…
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村山敏勝さんの翻訳業――コプチェク、バトラー、サイード、バック=モース、など

 前の記事で紹介しました、村山敏勝さん(『(見えない)欲望に向けて――クィア批評との対話』)の貴重な翻訳業を今度は紹介。  こうしてあらためて見ると、批評理論の分野では本当に重要な仕事を残されていますし、僕自身、お世話になったことを痛感します。  ここではとりあずえ5冊だけ挙げますが、他にあと数冊あります。     *    …
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ささやかな追悼の気持ちを込めて再読――村山敏勝『(見えない)欲望に向けて』(人文書院)

村山敏勝『(見えない)欲望に向けて――クィア批評との対話』(人文書院、2005年)  僕が村山敏勝さんと知り合ったのは、李静和さんの「アジア・政治・アート」のプロジェクトででした。彼は、ある意味「畑違い」のそのプロジェクトを、楽しそうに支えていました。畑違いと言えば、そこに参加していた僕もそうなのですが。  ともあれ、そ…
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10年以上の時を経て、原点としての――李静和『つぶやきの政治思想』

李静和『つぶやきの政治思想――求められるまなざし・かなしみへの、そして秘められたものへの』青土社、1998年 李静和『求めの政治学――言葉・這い舞う島』岩波書店、2004年  このかん紹介して来た李静和(編)『残傷の音』の序文と『スピヴァク、日本で語る』における李静和さんの応答。  これらは、「つぶやきの政治思想」…
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群島論の底流にはジャン・ジュネ/梅木達郎の〈放浪〉が響いている――今福龍太・吉増剛造『アーキペラゴ』

今福龍太・吉増剛造『アーキペラゴ――群島としての世界へ』、2006年 今福龍太、『群島-世界論』、岩波書店、2008年  先日、東大UTCPで「群島的思考――日本における移動する理論」というセミナーが開かれ、報告者であるデンニッツァ・ガブラコヴァさんと、UTCPリーダーの小林康夫さんとのあいだで、興味深い討議が交わされた…
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スピヴァクの具体的な顔が見える思想と活動のエッセンス――『スピヴァク、日本で語る』

G・C・スピヴァク、『スピヴァク、日本で語る』 鵜飼哲監修・解説、坂元ひろ子序文、岩崎稔・李静和・竹村和子・大橋史恵=応答、本橋哲也・新田啓子・竹村和子・中井亜佐子=訳、みすず書房、2009年  スピヴァク氏の来日講演・討議の全体像。すでに出ているスピヴァク氏の諸著作の背景と意図とエッセンスを伝えるとともに、さまざまな立…
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ギルロイをどう読むか――小笠原博毅編『黒い大西洋と知識人の現在』刊行と6月26日トークセッション

市田良彦+ポール・ギルロイ+本橋哲也著/小笠原博毅編、 『黒い大西洋(ブラック・アトランティック)と知識人の現在』、松籟社、2009年  画期的な書物、ポール・ギルロイ『ブラック・アトランティック――近代性と二重意識』(月曜社)の著者ギルロイを招き、討議し、読解した記録。本書の内容紹介は、松籟社のページに。 日本のカル…
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心底寒気を覚える脳死臓器移植法案可決という事態――森岡正博『生命学に何ができるか』

森岡正博、『生命学に何ができるか――脳死・フェミニズム・優生思想』、勁草書房、2001年  今日、衆議院で臓器移植法「改正」案のうち、A案が可決されました。  僕は最初に書いておけば、脳死を人の死と定義することについても、脳死臓器移植そのものについても、反対です。なので、A~D案のどれがマシということではなく、そのいずれ…
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現代日本の哲学者に対する明晰かつ誠実な読解の試み――勝守真『現代日本哲学への問い』

勝守真、『現代日本哲学への問い――「われわれ」とそのかなた』、勁草書房、2009年  廣松渉、大森荘蔵、永井均、高橋哲哉、4人の哲学書を、徹底的に論理的に読解することで、その論理の振幅のなかに、著者の意図を超えた可能性を読み込もうという試み。きわめて明晰かつ誠実な読解の実践であり、快著だと思います。  著者は、いわゆ…
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中国からパレスチナ/イスラエルまで世界大で「哲学」する――中島隆博『哲学』岩波書店

中島隆博、『ヒューマニティーズ 哲学』、岩波書店、2009年  前回、「西洋哲学」関係の本を紹介したときに、プラトンとかアリストテレスとか「西洋」哲学なのかな、という疑問を提示しました。  大学制度のなかでは、あるいは一般的な用法では、ただ「哲学」と言うと、「西洋哲学」を主に意味することになっており、中国哲学とかインド哲…
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熊野純彦編『現代哲学の名著』中公新書、熊野純彦『西洋哲学史』岩波新書など

熊野純彦[編]、『現代哲学の名著――20世紀の20冊』、中公新書、2009年  中公新書の「名著」紹介シリーズに、熊野さん編集の「現代哲学」が入りました。  熊野さんには論集『悪と暴力の倫理学』でお世話になったこともありますが、今回も同様に、若手研究者らとのコラボレーション。いつもながら、教育的配慮と、編集的配慮に行き届…
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詩人哲学者ドゥギーの全貌を示す画期的訳業――『愛着――ミシェル・ドゥギー選集』

ミシェル・ドゥギー『愛着――ミシェル・ドゥギー選集』、丸山誠司訳、書肆山田、2008年  ここ何回か、梅木達郎氏の業績に触れてきた。そのなかの、ミシェル・ドゥギーの『尽き果てることなきものへ』と、ドゥギー他の『崇高とは何か』の翻訳にも関連して。  驚いたことに、ドゥギーの業績全体から精選された作品が、一冊にまとめられて翻…
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隠れた名ジュネ論、梅木達郎『放浪文学論――ジャン・ジュネの余白に』

梅木達郎、『放浪文学論――ジャン・ジュネの余白に』、 東北大学出版会、1997年  また梅木さんについて。  彼は、デリダと、そしてジュネに没頭していた。ジュネのなかに、重要な主題を抉る視角をたくさん見いだしていた。国家、民族、家族、性、暴力、記憶、アイデンティティ。ジュネのテクストは、それらを取り上げてみては、次々と…
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梅木達郎の翻訳書を三冊まとめて紹介する――デリダ、ドゥギー、崇高論集

◆ジャック・デリダ、『火ここになき灰』、梅木達郎訳、松籟社、2003年 ◆ミッシェル・ドゥギー、『尽き果てることなきものへ――喪をめぐる省察』、梅木達郎訳、松籟社、2000年 ◆ミシェル・ドゥギー、他著、『崇高とは何か』、梅木達郎訳、法政大学出版局、1999年  梅木さんの『支配なき公共性』(洛北出版)の紹介ついでに、…
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宮崎裕助『判断と崇高』の刊行をきっかけに、梅木達郎『支配なき公共性』(洛北出版)を再読する

梅木達郎、『支配なき公共性ーーデリダ・灰・複数性』、洛北出版、2005年  宮崎裕助『判断と崇高』を取り上げたついでに、梅木さんの『支配なき公共性』を再掲。 第一部  崇高論をめぐって――弁証法から誇張法へ  喪をめぐる省察――ドゥギー『尽き果てることなきものへ』  灰を読むジャック・デリダ  テクストを支配…
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