テーマ:哲学/思想

宮崎裕助『判断と崇高』――カントの『判断力批判』からデリダの『法の力』にいたるラディカルな論理展開

宮崎裕助、『判断と崇高――カント美学のポリティクス』、知泉書館、2009年  本書の主題にも副題にも明示はされていないが(しかし知る人が見れば明白かもしれないが)、本書は狭義のカント研究書ではない。カントの第三批判『判断力批判』から読み取られる「判断/決断/決定」の問題を、最終的にはジャック・デリダの『法の力』および『友愛…
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ヴェーバー紹介ついでに――柳父圀近『エートスとクラトス』も読み返す

柳父圀近『エートスとクラトス――政治思想史における宗教の問題』創文社、1992年  前回、ヴェーバーの『職業としての政治 職業としての学問』の新訳を紹介しましたが、こういうものの「現代的意義」とか、あるいは日本社会で読む意義について、本当によく考えていたのが柳父圀近氏だと思います。というか、そういうことを教えてくれたのが、…
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ローゼンツヴァイク『救済の星』の格好の副読本、村岡晋一『対話の哲学』(選書メチエ)

村岡晋一著、『対話の哲学――ドイツ・ユダヤ思想の隠れた系譜』、講談社選書メチエ、2008年  前回書いたように、ローゼンツヴァイク『救済の星』(みすず書房)が刊行されたわけだが、このある意味難解な大著の書かれた、背景、意義、解釈可能性などについて、訳者の中心人物である村岡晋一氏が、選書を書いている。  まず、ドイツ・…
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執筆から90年、ローゼンツヴァイクの大著『救済の星』がとうとう完訳刊行!

フランツ・ローゼンツヴァイク、『救済の星』、 村岡晋一・細見和之・小須田健=訳、みすず書房、2009年  ドイツ・ユダヤ人の思想家フランツ・ローゼンツヴァイクの主著であり、原書で500頁、翻訳で700頁に達する大著だ。1919年に原稿が完成したので(刊行は21年)、ちょうど今年が90年目になる。  本書の裏表紙にもある…
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6月13日『在日音楽の100年』シンポのコメンテーター平井玄氏の最新評論集『千のムジカ』

平井玄、『千のムジカ――音楽と資本主義の奴隷たちへ』、青土社、2009年  今度する宋安鍾さんの『在日音楽の100年』刊行記念シンポ、のコメンテーターのお一人の本。同じ青土社の同じ編者さんが担当。  平井氏は、『路上のマテリアリズム』『破壊的音楽』以来、縦横無尽に音楽を軸にした批評を展開してきました。そこに近現代思想を織…
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大学の来歴と未来を思想史的に読み解く――論集『哲学と大学』刊行/関連イベントも

西山雄二(編)、『哲学と大学』、未来社、2009年  東京大学COE「共生のための国際哲学教育研究センター」(UTCP)の西山雄二さんが中心になって進めてきたプログラム「哲学と大学」の成果が、一冊の論集にまとめられた。  「人文科学の危機」ひいては「大学の危機」が嘆かれている現在、そもそも「大学」とは歴史的に何だったのか…
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共生、人権、市民権、多文化主義、マイノリティ、などの問題を考えるために――金泰明氏の二著

金泰明、 『マイノリティの権利と普遍的概念の研究――多文化的市民権と在日コリアン』(トランスビュー、2004年)、 『共生のための二つの人権論』(トランスビュー、2006年)  前回に引き続き、金泰明さんの著書を紹介。  彼には、博士論文を書籍化した『マイノリティの権利と普遍的概念の研究――多文化的市民権と在日コリア…
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パラムせんだいで金泰明さんとの対話集会(3月21日・仙台市)ーー金泰明『欲望としての他者救済』

金泰明『欲望としての他者救済』(NHKブックス、2008年)  以前紹介しました、『欲望としての他者救済』の著者、金泰明さんを仙台にお迎えして、対話集会を開催します。ご参加ください。 パラムせんだいの集い  人権思想・市民社会論の研究者   金泰明さんとの対話  人権の思想の研究をされている金泰明(きむ…
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ジャック・デリダのアパルトヘイト批判/マンデラ論――ミーダーン・セミナーに向けて

『アパルトヘイト否(ノン)! 国際美術展カタログ』、現代企画室、1989年  再度、ミーダーン主催のセミナー「ポスト・アパルトヘイトの経験とイスラエル/パレスチナ」の案内を兼ねて。  前回は、峯陽一氏の本を紹介しましたが、今回は鵜飼さんの側から。とはいえ、鵜飼さんのというよりも、鵜飼さんの訳されたジャック・デリダのアパル…
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スピヴァク『ポストコロニアル理性批判』――シンポジウム「ディアスポラの力を結集する」のもう一冊

G・C・スピヴァク『ポストコロニアル理性批判――消え去りゆく現在の歴史のために』、上村忠男・本橋哲也訳、月曜社、2003年  先に案内したシンポジウム「ディアスポラの力を結集するーーギルロイ、スピヴァク、ボヤーリン兄弟(2月6日:東京)で扱われるうちの一冊。  すでにこの場では、ボヤーリン兄弟『ディアスポラの力』とポール…
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2月6日シンポジウム「ディアスポラの力を結集する――ギルロイ、スピヴァク、ボヤーリン」

シンポジウム「ディアスポラの力を結集する ーーギルロイ、スピヴァク、ボヤーリン兄弟」(2月6日:東京)  CAPPディアスポラ研究会シンポジウム「ディアスポラの力を結集するーーギルロイ、スピヴァク、ボヤーリン兄弟」(2月6日:東京)の案内です。  ぜひご参加ください。 【開催趣旨】  ユダヤ・ディアスポラの…
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人間と世界の存在形式を根底から基礎づける――明晰な新訳、レーヴィット『共同存在の現象学』

レーヴィット『共同存在の現象学』、熊野純彦訳、岩波文庫、2008年  カール・レーヴィット(1897-1973年)は、ドイツのユダヤ人哲学者だ。例によって、ユダヤ系ドイツ人というべきなのかと問う余地はあるが。訳者である熊野純彦氏が附した解説によれば、レーヴィットの父親がユダヤ系であるというだけで、すでにプロテスタントに…
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『思想』でレオ・シュトラウスの画期的特集!

『思想』(岩波書店)2008年10月号 「総特集:レオシュトラウスの思想」  〈9・11〉以降、「ネオコンのイデオローグ」などという妙な注目を浴びた政治思想家、レオ・シュトラウス。しかし、思想史の分野では、古代ギリシャ思想、中世イスラーム思想、近世のホッブズやスピノザについて論じ、そして同じドイツ系ユダヤ人として、ヘルマ…
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「他者」の哲学的な認識について――梅木達郎『サルトル』NHK出版

梅木達郎『サルトル――失われた直接性をもとめて』NHK出版、2006年  前回紹介した金泰明氏の著作を読んで、梅木さんの『サルトル』を読み返した。  というのも、NHK出版の担当編者が同じであったこと、それから通底するテーマとして、「他者とのつながり」について、少し違う角度からの哲学的な認識について考えたかったということ…
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「私」と「他者」から「社会」へ――金泰明『欲望としての他者救済』(NHKブックス、2008年)

金泰明『欲望としての他者救済』(NHKブックス、2008年)  本書は、誰もが経験する身近な出来事から、「私」と「他者」との相互関係的な存在様式について哲学的考察まで高め、かつ「市民社会」論の入り口まで議論を進めている。  誰もが経験する出来事とは、たとえばこういうことだ。困っている人を見たときに、とっさに助けなければと…
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越境する知識人、マサオ・ミヨシのインタヴュー、『抵抗の場へ』

マサオ・ミヨシ、吉本光宏、『抵抗の場へ――あらゆる境界を越えるために マサオ・ミヨシ自らを語る』、洛北出版、2007年  前回取り上げた坂口尚『石の花』で、ふと本書を思い出した。  「石の花」というのは、この壮大な漫画の冒頭と結末で描かれる、何百年もかかって育った巨大な鍾乳石の石柱のことだ。表面にある無数の突起が石ででき…
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暴力/テロリズム論――熊野・麻生編『悪と暴力の倫理学』所収の拙論 

熊野純彦・麻生博之(編)、『悪と暴力の倫理学』、ナカニシヤ出版、2006年  とくに最近書いたとか読んだというわけではないのですが、ここ二回連続で、パレスチナ/イスラエルにおける「テロリズム」をテーマとする書籍を紹介していたので、そういえば自分でもそれについて論じたことがあったと思い、それもついでに紹介しておきます。  …
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タラル・アサドによる「自爆テロ」の思想史的・宗教史的分析

タラル・アサド『自爆テロ』、茢田信司訳、磯前順一解説、青土社、2008年 『宗教の系譜』(岩波書店)や『世俗の形成』(みすず書房)で近年、日本でも注目を集めている宗教思想史家タラル・アサドによる、テロリズム分析の書、とくにイスラエル/パレスチナにおける「自爆テロ」に焦点を当てた一冊。  第一章「テロ…
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〈脱構築〉以降の「政治」や「正義」の所在、あり方を模索ーー梅木達郎『支配なき公共性』

梅木達郎、『支配なき公共性ーーデリダ・灰・複数性』、洛北出版、2005年  『『明るい部屋』の秘密』に収録された梅木さんの「現前という狂気」を読んで、『支配なき公共性』のほうも結局読み返した(詳細目次・内容紹介は、洛北出版サイトへ)。 第一部  崇高論をめぐって――弁証法から誇張法へ  喪をめぐる省察――ミッシェ…
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「ロラン・バルト『明るい部屋』」論集成ーー「写真」の明証性(真実を写す?)をめぐる考察の数々

青弓社編集部(編)、『『明るい部屋』の秘密ーーロラン・バルトと写真の彼方へ』、青弓社、2008年  ロラン・バルトの『明るい部屋』(日本語訳はみすず書房)は、バルトの遺作にして、特異な写真論。そして本書は、ただのバルト論集ではなく、『明るい部屋』論集!  それにしても、一冊の書物をめぐってここまで多くの人が論じているとは…
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イスラエル建国60年の思想的意味と「国民/民族」の行方ーー早尾貴紀『ユダヤとイスラエルのあいだ』

早尾貴紀、『ユダヤとイスラエルのあいだーー民族/国民のアポリア』、青土社、2008年 【一言コメント】  ちょうどイスラエル建国60年にこの本を出しました。  「ユダヤ人国家」とは何なのか、「パレスチナ問題」とは何なのかを、自分自身、根本から考え直そうと試みた一冊です。  たんなる現地ルポや時事論でもなく、あるい…
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