テーマ:歴史

東アジアのひいては非西欧圏の歴史と現在と未来を映す鏡として―丸川哲史『台湾ナショナリズム』選書メチエ

丸川哲史、『台湾ナショナリズムーー東アジア近代のアポリア』、講談社選書メチエ、2010年  今日発売(6月26日号)の図書新聞に、丸川さんの『台湾ナショナリズム』の書評を書きました。  ほんの冒頭のさわりだけ、載せておきます。ぜひ同誌でお読みいただくとともに、本書も読んでほしいと思います。  台湾を考えるとは、そも…
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フレドリクソン『人種主義の歴史』(李孝徳訳、みすず書房)と、その書評

ジョージ・M・フレドリクソン『人種主義の歴史』(李孝徳訳、みすず書房、2009年)  ヨーロッパのユダヤ教徒の人種化、植民地主義とともに生じた「黒人奴隷」、そしてナチスのホロコーストと、南アのアパルトヘイト。これらをレイシズムのイデオロギーとして、体系的に説明した好著。おそらく、文庫クセジュの『人種差別』(フランソワ・ド・…
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アルメニアの民族「独立」をめぐってーー吉村貴之『アルメニア近現代史』(ユーラシアブックレット)

吉村貴之『アルメニア近現代史ーー民族自決の果てに』(ユーラシアブックレット、東洋書林、2009年)  以前紹介したことのある、『コーカサスを知るための60章』(明石書店、2006年)の共編者のひとりであり、また、臼杵陽[監修]『ディアスポラから世界を読む』にも「故郷を創るーーアルメニア近代史に見るナショナリズムとディアスポ…
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NHKドラマ化、司馬遼太郎『坂の上の雲』の問題点――半沢英一『雲の先の修羅』

半沢英一『雲の先の修羅――『坂の上の雲』批判』、東信堂、2009年  司馬遼太郎『坂の上の雲』のドラマ化が、昨晩からNHKで始まった。  この小説は、日清戦争から日露戦争にかけての時期を舞台としたものであり、この二つの戦争を「祖国防衛」の健全な戦争、とりわけ後者を、ロシア帝国主義との対決、あるいはヨーロッパ文明と…
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高齢の在日コリアン女性一世への生活史聞き取りの記録、『在日コリアン女性20人の軌跡』

かわさきのハルモニ・ハラボジと結ぶ2000人ネットワーク 生活史聞き書き・編集委員会(編)『在日コリアン女性20人の軌跡――国境を越え、私はこうして生きてきた』(明石書店、2009年)  工業地帯である川崎市の、つまり戦時中から多くの朝鮮人が労働に徴用された地域の在日朝鮮人の一世の女性たち、つまりもう80~90歳ぐらいの方…
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大江志乃夫氏の訃報に触れて――大江志乃夫『凩の時』など

大江志乃夫『凩の時』、筑摩書房1985年、ちくま学芸文庫1992年  歴史家の大江志乃夫氏が亡くなったという記事を見た。日本近代史の大家だ。  僕も多くを学ばせてもらった。本当に多くの仕事を残した人だったけれども、最大の一冊は、『日露戦争の軍事史的研究』(岩波書店、1976年)だろう。また立風書房から出した二冊、『東アジ…
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〈8・15〉で終わったわけではない――終戦記念日に加藤聖文『「大日本帝国」崩壊』を読む

加藤聖文『「大日本帝国」崩壊――東アジアの1945年』、中公新書、2009年  1945年8月15日から64年目の終戦記念日。平和を願っての不戦の誓いが繰り返された。「戦争の惨禍を忘れません」と。  だけれども、〈8・15〉ばかりが語られるときに、実は「植民地帝国日本」の領域とは何だったのか、そこで何が起きたのかは、かえ…
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「世界史認識」と日本の政策まで広く深く問う――臼杵陽『イスラームはなぜ敵とされたのか』(青土社)

臼杵陽『イスラームはなぜ敵とされたのか――憎悪の系譜学』(青土社、2009年)  臼杵陽氏の最新刊。今年は、岩波新書『イスラエル』と、監修された『ディアスポラから世界を読む』(明石書店)につづいて、もう三冊目。ただでさえ忙しいでしょうに、加えて、ガザのことがあれば新聞や雑誌やテレビに引っ張られ、そうしたなかで精力的に重要な…
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原爆の日・8月6日に東琢磨『ヒロシマ独立論』(青土社)を読み直す 

東琢磨、『ヒロシマ独立論』、青土社、2007年8月6日  今日は広島に原爆が投下された1945年8月6日から64年目の2009年8月6日、「原爆の日」。  この日に読むのにうってつけの本がこれ、東琢磨さんの『ヒロシマ独立論』。二年前の原爆の日、2007年8月6日の刊行。  ただ毎年のように死者を追悼し、戦争を反省し、原…
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スペイン語圏文化・文学研究から紡ぎだす「もう一つの言説実践」――杉浦勉『霊と女たち』

杉浦勉、『霊と女たち』、インスクリプト、2009年  本書は、一年前に急逝されたスペイン語圏文化研究者、杉浦勉氏の死後編集の論文集だ。  死後編集でありながら、慕っていた友人らが、いかにも遺稿集という形にせずに、一冊の完結した書物として編纂されている。この編集方針は、梅木達郎『支配なき公共性』(洛北出版)を彷彿とさせる。…
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今週末、宋安鍾『在日音楽の100年』(青土社)刊行記念シンポと盧佳世ミニ・コンサート

宋安鍾『在日音楽の100年』(青土社、2009年)  予告していましたイベント、今週末土曜日に迫りました! 宋安鍾さんの『在日音楽の100年』(青土社、2009年)の刊行を記念して、公開のシンポジウムと、それから同書でも触れられている盧佳世さんのミニ・コンサート。案内を再掲します。ぜひご参加を! 宋安鍾『在日音楽の1…
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やっぱり100年以上は遡らないと――佐谷眞木人『日清戦争――「国民」の誕生』講談社現代新書

佐谷眞木人、『日清戦争――「国民」の誕生』、講談社現代新書、2009年  ヨーロッパ近代を考えるときに、ここのところ、ローゼンツヴァイクやヴェーバーに触れたときに、第一次世界大戦前後からの90年スパンぐらいで見ないと、いろいろなことがわからない、というようなことがしばしば言われます。  じゃあ日本は、と振り返ったときに、…
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マックス・ヴェーバー最晩年の著名な二講演、日経BPから合本新訳で刊行

マックス・ウェーバー、『職業としての政治 職業としての学問』、中山元訳、日経BPクラシックス、2009年  すでに岩波文庫でもおなじみの古典、マックス・ヴェーバー最晩年の二つの講演の新訳。  いずれも、亡くなる1920年の前年の19年に刊行されたものだが、「職業としての学問」は17年にすでにもととなる講演がなされている。…
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ブックレット『薩摩支配400年 琉球処分130年を問う』刊行の案内

薩摩の琉球支配から400年・日本国の琉球処分130年を問う会(編) 『薩摩支配400年 琉球処分130年を問う』、2009年  最近出たブックレットサイズの論集。  これを出した「薩摩の琉球支配から400年・日本国の琉球処分130年を問う会」のサイトはここ。  ここにあるとおり、「薩摩の琉球支配400年を問うシンポジ…
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チャベスがオバマに贈ったことでベストセラー!?――ガレアーノ『収奪された大地』

エドゥアルド・ガレアーノ著、『収奪された大地――ラテンアメリカ五百年』、大久保光夫訳、新評論、1986年/新装版、藤原書店、1991年  日本の新聞各紙でも報じられているようですが、ベネズエラのチャベス大統領が、アメリカのオバマ大統領に、直接この本(英語版か)を贈呈したところ、アマゾンで売り上げ5万位台だったのが一気に2位…
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スピヴァク『ポストコロニアル理性批判』――シンポジウム「ディアスポラの力を結集する」のもう一冊

G・C・スピヴァク『ポストコロニアル理性批判――消え去りゆく現在の歴史のために』、上村忠男・本橋哲也訳、月曜社、2003年  先に案内したシンポジウム「ディアスポラの力を結集するーーギルロイ、スピヴァク、ボヤーリン兄弟(2月6日:東京)で扱われるうちの一冊。  すでにこの場では、ボヤーリン兄弟『ディアスポラの力』とポール…
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イラン・パペ、ガザを語る――1948年から見直すガザ攻撃

イラン・パペ『イラン・パペ、パレスチナを語る  ――「民族浄化」から「橋渡しのナラティヴ」へ』   (ミーダーン編訳、柘植書房新社、2008年)  イスラエルの反シオニストの歴史家で、二年前に来日し、重要な講演をしていったイラン・パペ(Ilan Pappe)。  パペは歴史家としての立場から、折々にパレスチナ/イスラ…
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排他的ナショナリズムのはざまで消滅したユダヤ人共同体の歴史――野村真理『ガリツィアのユダヤ人』

野村真理、『ガリツィアのユダヤ人――ポーランド人とウクライナ人のはざまで』、人文書院、2008年  「歴史家」野村真理氏の最新の著作である。最近になって、著者と面識ができたが、しかし、私自身の問題関心と野村さんの仕事との接点は、15年ほどさかのぼり、大学の学部生の頃から野村さんの仕事によって勉強させられてきたと言ってもいい…
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歴史学研究会大会報告・現代史部会――離散者が問う戦後世界像

『歴史学研究』増刊号(2008年10月)「新自由主義の時代と現代歴史学の課題」  7月にあった歴史学研究会の2008年度大会の報告特集号です。  私は、現代史部「離散者が問う戦後世界像――その包摂と排除に見る植民地主義の継続」に参加しました。  報告は、道場親信さんの「「戦後開拓」再考――「引揚げ」以後の「非/国民」た…
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日系移民理解の必読書/ジュニア新書と思えぬ充実した入門書――高橋幸春『日系人の歴史を知ろう』

高橋幸春、『日系人の歴史を知ろう』、岩波ジュニア新書、2008年  岩波ジュニア新書では、ときどき「名著」が生まれる。川北稔『砂糖の世界史』などはそうした一冊だ。いまどきの中高生にすんなり読めるかどうかはさておき、しかしそうした層から読めることを念頭において論述された入門書で、しかし内容や質を落とさずに伝えることに成功して…
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フェミニズムから考える多様なアフリカの歴史――富永・永原編『新しいアフリカ史像を求めて』

富永智津子・永原陽子編、『新しいアフリカ史像を求めて――女性・ジェンダー・フェミニズム』、御茶の水書房、2006年  前回紹介したのはギルロイの『ブラック・アトランティック』であったが、今回はフェミニズムの観点から考えるアフリカ史。  本書は、3年間にわたって行なわれた「アフリカ女性史に関する基礎的研究」の研究会の成果と…
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鹿野政直と沖縄史――『けーし風(かじ)』第60号「歴史を語る磁場」

『新沖縄フォーラム けーし風(かじ) 第60号』2008年9月:特集「歴史を語る磁場」  特集は、歴史学。  なかでも、鹿野政直氏の長時間インタヴューは圧倒的。若い沖縄研究者の我部聖氏と戸邉秀明氏による質問、ツッコミ、フォローも考えさせられるところ大です。  これは、鹿野氏の『戦後沖縄の思想像』と『沖縄の淵――伊波普猷…
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若い世代が戦争/戦争体験者といかに出会い、向き合い、伝えるかーー『戦争への想像力』

小森陽一(監修)『戦争への想像力ーーいのちを語りつぐ若者たち』、新日本出版社、2008年  この夏8月、第二次世界大戦の終戦から63年。直接の戦争体験世代の証言がますます難しい状況になってきています。戦争の記憶は、いかに想起され、引き継がれていくのかというのは切実な課題ではありますが、近い将来確実に、証言者のいない戦争の記…
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「慰安婦」問題と「私たちの責任」について多角的に再考するーー論集『歴史と責任』(金富子・中野敏男)

金富子/中野敏男【編著】、『歴史と責任ーー「慰安婦」問題と一九九〇年代』、青弓社、2008年  日本軍による「慰安婦」問題は、いったい何を現代社会に問うているのでしょうか。  冷戦イデオロギーや、払拭しきれない男性中心主義などによって、封印・黙殺されてきた「慰安婦」の存在が、ようやく公然と語られるようになった1990年代…
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「和解」を考えるための基礎としてーー小菅信子『戦後和解』

小菅信子『戦後和解ーー日本は〈過去〉から解き放たれるのか』、中公新書、2005年  朴裕河『和解のために』の大佛次郎論壇賞受賞が象徴するように、「和解」が流行っている。この問題については、尹慧瑛『暴力と和解のあいだ』を扱ったときにも触れたが、「対立と和解」という語り自体がひじょうに魅惑的であると同時に危険なものである(…
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人道支援という名のもとの民族浄化ーーテッサ・モーリス=スズキ『北朝鮮へのエクソダス』

テッサ・モーリス=スズキ『北朝鮮へのエクソダスーー「帰国事業」の影をたどる』田代泰子訳、朝日新聞社、2007年  いわゆる在日朝鮮人の北朝鮮への「帰国事業」の真相に迫る本です。帰国事業は、「楽園」への移住と謳われ、日本政府や赤十字などによって政策的に推進された「人道的措置」でした。  しかし、私の年配の在日朝鮮人の友人で…
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戊辰戦争は「東北独立戦争」だったーー維新史観とは異なるもう一つのナラティヴ

星亮一『仙台戊辰戦史ーー北方政権を目指した勇者たち』三修社、2005年  日本国家の基礎の樹立、近代化の発端と言えば、誰もが「明治維新」と答えるでしょう。  でも、東北地方から、とくに仙台や会津から見れば、薩長を中心とした維新軍は侵略と殺戮の軍隊。戊辰戦争は、「奥羽征伐」の戦争でした。  ところが、会津の隣の郡山に生ま…
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パレスチナ/イスラエルを語る画期的ナラティヴ――『イラン・パペ、パレスチナを語る』

イラン・パペ『イラン・パペ、パレスチナを語る  ――「民族浄化」から「橋渡しのナラティヴ」へ』   (ミーダーン編訳、柘植書房新社、2008年)  イスラエルのニューヒストリアンの旗手、イラン・パペによる日本講演集。また、日本語で最初の翻訳。  一方で実証史家として、1948年のイスラエル建国をシオニストによるパレス…
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