安里英子『凌辱されるいのちーー沖縄・尊厳の回復へ』、御茶の水書房、2008年
安里英子『沖縄・共同体の夢ーー自治のルーツを訪ねて』、榕樹書林、2002年
アジア太平洋研究センターディアスポラ研究会シンポジウム:
「「独立/自立/自治」を考えるーー沖縄、奄美、ヒロシマ」
アジア太平洋研究センター(東京麻布台/本校…
マット・ベイノン・リース『ベツレヘムの密告者』小林淳子訳、ラムダムハウス講談社文庫、2009年
数日ベツレヘムに滞在する機会があり、もってきていた日本語の文庫を、夜中に読む。半ば偶然、半ば選んだように、『ベツレヘムの密告者』。
エルサレム駐在の記者が、実際にあった事件への取材をもとに、しかしジャーナリズムでは描けない…
サラ・ロイ『ホロコーストからガザへ――パレスチナの政治経済学』
(岡真理、小田切拓、早尾貴紀=編訳、青土社、2009年、2600円)
今日、12月27日は、イスラエルによる「ガザ戦争」開始からちょうど1年です。
しかし、目に見える大規模空爆でも怒らないかぎり、人びとの関心はすうーっと引いていきます。そしてまた虐殺が…
『季刊 ピープルズ・プラン』48号(2009年)
:特集「生存権」
ピープルズ・プラン研究所で刊行している雑誌の最新号。特集は「生存権」。近年、「反貧困」の運動のなかで、生存権の問題は再注目を浴びているが、本特集の特徴は、ジェンダー的な視点や南北問題の視点など、広い視野で論じているところ。少し意外なのは、政治思想研究…
南アフリカ共和国の子どもたち ほか『二匹の犬と自由――アパルトヘイト下の子どもたち』、日本反アパルトヘイト委員会=編訳、現代企画室、1989年
本書は、今年亡くなった知人の弘中敦子さん(日本反アパルトヘイト委員会のメンバーでした)の訳された本です。
さまざまな市民活動を地道に担われていた弘中さんは、あまり名前が出ない…
目取真俊『眼の奥の森』(影書房、2009年)
前回、もののついでに話題作、池澤夏樹『カデナ』に触れたけれども、こんな駄作を、書評で絶賛したり、「今年の三冊」に取り上げたりする人が多いのに驚く。何が悪いとか間違っているのではないにせよ、設定、人物、主張がステレオタイプで、小説として何がきちんと評価してるのかと疑う。大作家に…
大久保潤『幻想の島 沖縄』、日本経済新聞出版社、2009年
野里洋『癒しの島、沖縄の真実』、ソフトバンク新書、2007年
池澤夏樹『カデナ』、新潮社、2009年
いろいろ報道が出ている、沖縄の米軍基地移転問題。前自民党政権での合意であった普天間基地の辺野古への移設の是非、その他の選択肢など、だいぶ揺れている。でも大手…
黄ソギョン『パリデギーー脱北少女の物語』(青柳優子訳、岩波書店、2009年)
前回紹介した金起林を訳した青柳優子氏による翻訳である本書は、やはり植民地問題に深く根ざす現代作家・黄ソギョン氏の小説である。
著者自身、満州の新京生まれで、日本の敗戦後に母方の故郷の平壌に移住。さらに南北分断の直前47年にソウルに移住。作家…
金起林(著)/青柳優子(編訳・解説)
『朝鮮文学の知性 金起林』(新幹社、2009年)
約100年前の1908年に朝鮮生まれ、植民地時代に日本でも7年過ごした作家・詩人・批評家、金起林の初の日本語著作集。画期的訳業です!
1926~29年(18~21歳)に東京・日本大学、36~39年(28~31歳)に仙台・東北大学…
サラ・ロイ(インタヴュー/構成=小田切拓)
「ガザが語る「虚構」の和平」(『世界』2010年1月号)
先日案内をだした、サラ・ロイ『ホロコーストからガザへ――パレスチナの政治経済学』(岡真理、小田切拓、早尾貴紀=編訳、青土社)の第一部第三章「「対テロ戦争」と二つの回廊」と相補的な内容をなす重要インタヴュー。書籍の共編訳…
ノルベルト・エリアス/ジョン・スコットソン、『定着者と部外者――コミュニティの社会学』(大平章訳、法政大学出版局、2009年)
本書について、『図書新聞』(12月12日号)に書評を書きました。
以下は、そのほんの冒頭部分です。
本書の表題は「定着者と部外者」と堅苦しいが、最近より流通している言葉で置き換えれば、ホ…
吉村貴之『アルメニア近現代史ーー民族自決の果てに』(ユーラシアブックレット、東洋書林、2009年)
以前紹介したことのある、『コーカサスを知るための60章』(明石書店、2006年)の共編者のひとりであり、また、臼杵陽[監修]『ディアスポラから世界を読む』にも「故郷を創るーーアルメニア近代史に見るナショナリズムとディアスポ…
半沢英一『雲の先の修羅――『坂の上の雲』批判』、東信堂、2009年
司馬遼太郎『坂の上の雲』のドラマ化が、昨晩からNHKで始まった。
この小説は、日清戦争から日露戦争にかけての時期を舞台としたものであり、この二つの戦争を「祖国防衛」の健全な戦争、とりわけ後者を、ロシア帝国主義との対決、あるいはヨーロッパ文明と…
サラ・ロイ『ホロコーストからガザへ――パレスチナの政治経済学』
(岡真理、小田切拓、早尾貴紀=編訳、青土社、2009年、2600円)
今年3月に招聘したサラ・ロイさんの来日講演・対談・インタヴューをもとに編集しました。
昨年11月に招聘を決めた直後、12月末から今年1月にかけてイスラエルがガザ地区を猛烈に攻撃、…
『オルタ』09年9-10月号:特集「中華世界――21世紀の転換点」
アジア太平洋資料センター刊行の雑誌、『オルタ』の最新号は、「中華世界――21世紀の転換点」です。
巻頭言チベット総覧、四川大地震、五輪開催……。「改革開放の30年」の2008年は、世界に中国を伝える節目の一年であった。
とりわけ世界的な経済危…
【ディアスポラの理論と思想を考える11冊】/「ディアスポラ」から世界を読み直すためのブックリスト・増補改訂の77冊
「ディアスポラ」から世界を読み直すためのブックリスト・増補改訂の77冊の最後、11冊×7セットの7回目は、【ディアスポラの理論と思想を考える11冊】です。紀伊国屋書店新宿南店でやっているブックフェアは明日で…
【ブラック・ディアスポラを考える11冊】/「ディアスポラ」から世界を読み直すためのブックリスト・増補改訂の77冊
「ディアスポラ」と言えば、ユダヤ・ディアスポラの次に、人口に膾炙しているのが「ブラック・ディアスポラ」。ということで、第6回は【ブラック・ディアスポラを考える11冊】です。
「ヨーロッパ近代」の成立におい…
【「元祖ディアスポラ」のユダヤと中東パレスチナ問題を考える11冊】/「ディアスポラ」から世界を読み直すためのブックリスト・増補改訂の77冊
ディアスポラ・ブックリスト7項目各11冊の第5段は、【「元祖ディアスポラ」のユダヤと中東パレスチナ問題を考える11冊】。そもそもディアスポラへの問いは、ボヤーリン兄弟『ディアスポラの…
【ジェンダー/セクシャリティとディアスポラを考える11冊】/「ディアスポラ」から世界を読み直すためのブックリスト・増補改訂の77冊
ディアスポラから世界をよ見なすためのブックリスト77(11冊×7項目)の第4回は、【ジェンダー/セクシャリティとディアスポラを考える11冊】。もちろんこれも便宜的な区分でしかなくて、一冊…
【ディアスポラから日本、中国/台湾、東アジアを問う11冊】/「ディアスポラ」から世界を読み直すためのブックリスト・増補改訂の77冊
7項目各11冊のリスト化の第三回は、前回のコリアン・ディアスポラ以外の日本も含めた、【ディアスポラから日本、中国/台湾、東アジアを問う11冊】。コリアン・ディアスポラに比して、日本は重厚な「…