梅木達郎、『支配なき公共性ーーデリダ・灰・複数性』、洛北出版、2005年、他
2005年に梅木さんが亡くなってから5年が経ちました。ミシェル・ドゥギーの来日のお知らせもありましたし、まだまだ梅木さんの仕事は呼び起こされますし、実はこれからも梅木さんの残した翻訳が刊行されるのを待っているものがあります。生きていたなら、もっ…
今週、報道されただけでも、二件のネグレクトによる虐待死があった。埼玉県と奈良県で、4歳と5歳。いずれも餓死するほどのネグレクト状態であった。
年間日本で100人を越えている幼児虐待死。3日に一人は殺されている計算になるし、死に至らないまでも、深刻かつ継続的な虐待は無数にある。
再度以下の書籍を紹介したい。
【以下再掲】
…
ミシェル・ドゥギー『愛着――ミシェル・ドゥギー選集』、丸山誠司訳、書肆山田、2008年
ミッシェル・ドゥギー、『尽き果てることなきものへ――喪をめぐる省察』、梅木達郎訳、松籟社、2000年
以前にも紹介したことのある、『愛着――ミシェル・ドゥギー選集』(丸山誠司訳)の刊行を契機に、著者のドゥギー氏が来日!
3月17…
熊野純彦、『日本哲学小史――近代100年の20篇』(中公新書、2009年)
熊野さんと言えば、『西洋哲学史』(岩波新書)、『現代哲学の名著』(中公新書)、『和辻哲郎』(岩波新書)と、怒濤のごとく新書を編み続けていますが、今度はこれ。
今度すごいのは、福沢諭吉から始まり、西田や三木、和辻や九鬼を経て、戦後の市川浩や…
ジャ・ジャンクー、『ジャ・ジャンクー 「映画」「時代」「中国」を語る』、丸川哲史・佐藤賢訳、以文社、2009年
重要な仕事を生産し続けている丸川哲史さんは、中国・台湾の映画も多く論じてきました。映画を通じた社会表象を論じてきたと言うべきか。
そして今度出された翻訳のジャ・ジャンクーは、『長江哀歌(エレジー)』や『四川…
上村英明、『知っていますか? アイヌ民族 一問一答(新版)』、解放出版社、2008年
前回紹介のイスラエルの政治学者、メロン・ベンヴェニスティ氏の来日講演・対談企画のなかで、対談相手をされるアイヌ・先住民族研究者、上村英明氏のアイヌ入門書。1993年初版のものを新たに刊行。序文に故・萱野茂氏。
基本的な歴史・文化・政…
Meron Benvenisti, Sacred Landscape: Buried History of the Holy Land Since 1948, California UP, 2000
および
メロン・ベンヴェニスティ来日講演(東大UTCPなど)、3月12日~16日
イスラエルの政治学者の大家、メ…
Pithecanthropus Effectus+Uranachiによる、
「おとなしい給仕―ハロルド・ピンター"The Dumb Waiter"より―」(2月19、20、21日@大阪)
ハロルド・ピンター(1930-2008年)と『何も起こりはしなかった』については、以前紹介しました。
今回は、そのピンターの…
松島泰勝『琉球の「自治」』、藤原書店、2006年
宮城康博『沖縄ラプソディ――〈地方自治の本旨〉を求めて』、御茶の水書房、2008年
明日に迫ってきたシンポジウム「「独立/自立/自治」を考えるーー沖縄、奄美、ヒロシマ」に関連して、重要書を二冊紹介。
一冊目の松島泰勝氏の『琉球の「自治」』は、基本的には「開発」こ…
鳥山淳編、『イモとハダシ――占領と現在』(社会評論社、2009年)
前回も紹介しました、『沖縄・問いを立てるシリーズ』をもう一冊。これまた充実した一冊ですし、今度開催する「「独立/自立/自治」を考えるーー沖縄、奄美、ヒロシマ」とも深く関わる内容です。
第5巻
はじめに、イモとハダシ――占領と現在(鳥山淳)
1、…
藤澤健一編『反復帰と反国家――「お国は?」』、社会評論社、2008年
以前にも紹介しました、「沖縄・問いを立てる」シリーズの第6巻。
「独立/自立/自治」シンポが近づいてきたので、再読。ここでも紹介いたします。
第6巻 反復帰と反国家――「お国は?」 藤澤健一編
1、〈無国籍地帯〉、奄美諸島(前利潔)
2、…
尹健次『思想体験の交錯――日本・韓国・在日 1945年以後』、岩波書店、2008年
年表・索引まで含めて500頁の大作ではあるが、文体・分析が明快で読みやすく、通読するのは難しくなかった。
すなわち、日本・韓国・在日朝鮮人にまたがる複雑な戦後思想史に対して、「見取り図」を与えるような書物である。
【もくじ】…
『新沖縄フォーラム 〈季刊〉 けーし風(かじ)』65号
特集:「新政権下で〈抵抗〉を考える」
昨日は、「普天間基地存置もありうる」と言った岡田外相。迷走が続いています。
迷走しているということは、アメリカ政権の声と沖縄住民の声とのあいだでなおブレているということ。基地撤去に向けてチャンスがないわけではない、と見てい…
岡真理『アラブ、祈りとしての文学』、みすず書房、2008年
サラ・ロイ『ホロコーストからガザへ』(青土社)の共編訳者でもある、岡真理さんのアラブ文学論です。とりわけ、パレスチナおよびジェンダーに軸足を強く置いています。各章ごとの主題も明確で、かつ、とても読みやすい文体ですので、一気に読めます。そもそもが書き下ろしの一冊と…
麻生晴一郎、『反日、暴動、バブルーー新聞・テレビが報じない中国』(光文社新書、2009年)
すでに案内を出しましたように、今度の日曜日、1月31日に、丸川哲史氏の新刊『ポスト〈改革開放〉の中国』(作品社)の合評会をおこないます。
評者を二人呼びました。一人は、『現代思想』の名物編集長、池上善彦氏。丸川さんと竹内好研究…
『オルタ』09年11-12月号、特集「1989→:自由と民主化の神話」
『オルタ』2009年の最後の号は、「1989年」冷戦体制崩壊から20年を考える特集号でした。
僕も執筆しており、パレスチナ/イスラエルの「ポスト1989年」を考察しています。
結局、いまのパレスチナ情勢は、冷戦終焉も一要素としながら、その…
丸川哲史・鈴木将久(編)『竹内好セレクション I・II』(日本経済評論社、2006年)
丸川哲史『竹内好ーーアジアとの出会い』(河出書房新社、2009年)
丸川さんの『竹内好ーーアジアとの出会い』(河出ブックス)が刊行されましたが、それとともに、ぜひとも丸川(編)『竹内好セレクション』全2冊をお読みください。
…
◆丸川哲史『ポスト〈改革開放〉の中国--新たな段階に突入した中国社会・経済』、作品社、2010年
◆丸川哲史『竹内好--アジアとの出会い』、河出書房新社、2010年
丸川哲史さんが、この1月に相次いで二冊の新刊を出されました。
どちらも重要ではありますが、まずは『ポスト〈改革開放〉の中国』のほうをメインに、合評会を…
サラ・ロイ『ホロコーストからガザへ――パレスチナの政治経済学』
(岡真理、小田切拓、早尾貴紀=編訳、青土社、2009年、2600円)
年末に編訳・刊行した、サラ・ロイの本が、今日の朝日新聞の書評面で取り上げられました。評者は小杉泰氏。
コンパクトにポイントを紹介していただき、最後に、「編訳者の丁寧な解説もあって読み…
池澤夏樹『ぼくたちが聖書について知りたかったこと』小学館、2009年
パレスチナ/イスラエルでの移動中、中途半端に空いた時間などに、この本を読んだ。
これは、オビに名前の出ている、碩学・秋吉輝雄の本である、というべきである。
著者として名前を出さないのは、本人が固辞したからだろうか。
それにしても、これが池澤…