雑誌3冊紹介、『オルタ』、『インパクション』、『コンフリクトの人文学』

『オルタ』2010年1-2月号 特集「社会的企業」
『インパクション』173号 特集「大学はだれのものか?」
『コンフリクトの人文学』第2号(大阪大学COE)


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 ここ最近出た雑誌三冊を紹介。

 毎度紹介してます『オルタ』(アジア太平洋資料センター)は、特集が「社会的企業――地域・仕事・連帯社会をつくる」。最近ちょっと注目されているようで、先日テレビのドキュメンタリーでも特集をしていた。
 一般的には、「社会問題の解決を目的として収益事業に取り組む事業体=ソーシャルビジネス」と定義される。すなわち、利益の最大化を目的とするわけではないが、収益度外視でするボランティア団体でもない、仕事として一定の資金繰り(スタッフの最低限の給与も含めて)をしながら、ある特定の社会問題への関与をしていくことで、社会貢献を継続的にしていく、ということだ。
 パレスチナ・オリーブもその一つだろうから、体験的にもそのたいへんさは分かる。先日見たドキュメンタリーでも、言葉のイメージで関心を集めているのとは裏腹に、実際に脱サラして企業をした人たちが、実践現場でいかに苦労しているのかをよく描いていた。
 雑誌ではこの『オルタ』が最初の特集になるだろうか。タイムリーな特集だ。

 注目の新連載に、粟飯原文子「音楽から見る世界史 アンゴラ、民族のリズム」。音楽と政治、あるいは第三世界・反植民地主義と政治文化の問題を、アンゴラから世界史を照射するような鋭い視角で論じる。

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 『インパクション』は、すみません、特集よりも、書評コーナーで、最近重版されたばかりのサラ・ロイ『ホロコーストからガザへ――パレスチナの政治経済学』(岡真理・小田切拓・早尾貴紀=編訳、青土社、2009年)を取り上げてもらえたので、、、
 評者は、小倉利丸氏。2頁分ほど使って、しっかりとご紹介いただきました。これまでで一番きちんと取り上げてもらえた書評です。タイミングもちょうど重版したところでしたので、ありがたい。
 また、中東研究、ホロコースト・ユダヤ問題、さまざまな切り口があるなかで、経済学を背景とした研究者による書評なので、「パレスチナの政治経済学」へ軸足を置いた書評になっています。

 もちろん特集も大事。他人事ではない、迷走する大学の行方について。

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 最後、大阪大学のグローバルCOE「コンフリクトの人文学」が刊行している年報です。
 友人の赤尾光春氏が働いている縁で、僕もそのプロジェクトの一つ(シオニズムの考古学)にかかわっています。
 その雑誌の第2号。注目は、昨年来日講演をした、ハイム・ブレシースの講演記録「遅すぎるパレスチナ二国家解決案――未来への提言」(赤尾光春翻訳・解題)。ホロコースト研究者、イディッシュ語話者のディアスポラ・ユダヤ人、映像作家・批評家、といった顔を持つ、ブレシース氏による、パレスチナ問題に対する一国家解決案です。
 また、鶴見太郎氏による書評で、ジョナサン・ボヤーリン、ダニエル・ボヤーリン『ディアスポラの力ーーユダヤ文化の今日性をめぐる試論』(赤尾光春・早尾貴紀(訳)、平凡社、2008年)を扱っていただきました。
 たんなる書評というより、書評論考。一般誌でないので紙幅があります。いただいた問題提起にも感謝。

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インパクション 173(2010)
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コンフリクトの人文学 第2号
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