沖縄の「自治」を考える――松島泰勝『琉球の「自治」』と宮城康博『沖縄ラプソディ』

松島泰勝『琉球の「自治」』、藤原書店、2006年
宮城康博『沖縄ラプソディ――〈地方自治の本旨〉を求めて』、御茶の水書房、2008年


画像


 明日に迫ってきたシンポジウム「「独立/自立/自治」を考えるーー沖縄、奄美、ヒロシマ」に関連して、重要書を二冊紹介。

 一冊目の松島泰勝氏の『琉球の「自治」』は、基本的には「開発」こそが自立・自律をダメにしてしまった、という点は、これまで紹介してきた他の論者と共通するが、本書には大きく二点の特徴がある。まず、著者が石垣島生まれで、南大東島、与那国島、沖縄島で育ってきたという背景をもっていることもあって、沖縄本島中心の独立論ではなく、八重山諸島から奄美諸島までをも射程に入れた「琉球弧」で考えている点。第二に、政治的な独立論ではなく、経済的自立に軸足をおいている点。そしてこの二つの観点が密接に結びつきながら論が展開されている。

画像


 もう一冊は、宮城康博氏の『沖縄ラプソディ』。宮城氏は、名護出身で、東京在住を経てUターン、やんばる地方の行政に携わり、97年に住民投票運動に参加。98年から名護市議会議員を3期8年務めた。
 こちらは、「地方自治の本旨」とあるように、地域社会の自治に焦点が当てられている。松島氏の本が研究者スタイルで書かれているのに対して、こちらはやはり「市民運動家」として、あるいは「地域の市民」として書かれていることもあり、どちらかと言えばエッセイ・スタイル。コラムもはさまれていて読みやすいし、注も同じページの下段に入っていて、参照しやすい。しかもこの注が、いわゆるアカデミックな参照注ではなく、沖縄の地域政治に関わる具体的な事項の説明となっている。

 この二冊、大事です。

にほんブログ村 本ブログ 学術・専門書へ


琉球の「自治」
藤原書店
松島 泰勝

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ウェブリブログ商品ポータルで情報を見る



沖縄ラプソディ―“地方自治の本旨”を求めて
御茶の水書房
宮城 康博

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ウェブリブログ商品ポータルで情報を見る