藤澤健一編『反復帰と反国家――「お国は?」』/「独立、自立、自治」を問うシンポジウム(2月13日)

藤澤健一編『反復帰と反国家――「お国は?」』、社会評論社、2008年

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 以前にも紹介しました、「沖縄・問いを立てる」シリーズの第6巻。
 「独立/自立/自治」シンポが近づいてきたので、再読。ここでも紹介いたします。

第6巻 反復帰と反国家――「お国は?」 藤澤健一編
1、〈無国籍地帯〉、奄美諸島(前利潔)
2、国家に抵抗した沖縄の教員運動(藤澤健一)
3、五〇年代沖縄における文学と抵抗の「裾野」(納富香織)
4、語りえない記憶を求めて――大城立裕「二世」論(我部聖)
5、「反復帰・反国家」の思想を読みなおす(徳田匡)

 前利潔氏の論考は、シンポジウムでお呼びする喜山荘一さんの『奄美自立論』とも深く関係する奄美論。
 「沖縄」の「復帰」を論ずるにせよ、実に多くのことが見過ごされていることに、改めて気づかされます。「琉球」という括りにしても、シマがどこに位置し、どのような歴史と文化を重ねてきたかによって、政治的な体験やアイデンティティも異なってきます。奄美諸島はまさにそうした多くの分断線が錯綜して引かれてきた場です。

 2、3、4論考もそれぞれに、具体的な教育や文学を対象にした貴重な研究です。

 徳田匡氏の論考は、新川明と岡本恵徳という稀有な二人の思想家を軸に、「沖縄人」と「日本人」というアイデンティティについて、民族本質主義に陥らない批判的な思考を模索する試みです。実際、たんに独立論や沖縄人論を賞揚して済ませられる問題ではありません。むしろ、「独立」を論じねばならないような状況を生み出した、日本本土の植民地主義者的な思考・行動そのものが、考え直されるべきなのです。「沖縄人」という呼称についてもまたそうでしょう。徳田氏による新川による「沖縄人」という「発話」そのものへの洞察には鋭いものがあります。

アジア太平洋研究センターディアスポラ研究会シンポジウム:
「「独立/自立/自治」を考えるーー沖縄、奄美、ヒロシマ」

 アジア太平洋研究センター(東京麻布台/本校=大阪経済法科大学)において、沖縄・奄美を軸とした地域の「独立/自立/自治」をめぐるシンポジウムを開催します。
 沖縄/琉球の独立論は、1972年の日本返還(本土復帰)の前後に「反復帰」論として展開されてから現在に至るまで、米軍基地に依存した政治経済構造から脱却するために、またそうした構造を強いている日本本土から脱却するために、長く論じられてきました。とりわけ昨年は、琉球処分130年/薩摩藩侵略 400年ということもあり、節目
としても比較的多くの関連書籍が刊行されました。
 そこで3人の注目すべき論客を招き、討議の場をもちたいと思います。まずは、『沖縄・共同体の夢ーー自治のルーツを訪ねて』(榕樹書林)などによって、長年沖縄の自治論や共同体思想に取り組まれてきた安里英子さん。安里さんは一昨年も、『凌辱されるいのちーー沖縄・尊厳の回復へ』(御茶の水書房)を出され、そこでもあらためて自治をめぐって議論が深められています。
 また、「沖縄と本土」という対立軸で捉えたときにそのあいだに落ち窪み不可視化されてしまうのが「奄美」です。喜山荘一さんは、奄美の語られなさや困難を「失語」として問題化した『奄美自立論ーー四百年の失語を越えて』(南方新社)を昨年刊行し注目されました。
 また、国家と地域との関係を根本的に問い直す『ヒロシマ独立論』(青土社)を出された東琢磨さんにも参加していただきます。広島に深く根ざした活動を展開しながら、沖縄/琉球にも関わりの深い東さんには、先のお二方の話を受けつつ、国家/独立とは何かといったところまで議論の射程を広げていただければと思います。

【日時】:2010年2月13日(土)14:00-17:30
【会場】:東京麻布台セミナーハウス2階大会議室
(港区麻布台1-11-5/日比谷線神谷町駅から東京タワー方向へ徒歩3分)
【入場】:無料、一般参加可

【プログラム】
   開催趣旨説明:早尾貴紀=司会(15分)
   報告
    安里英子(30分)
    喜山荘一(30分)
    東琢磨(30分)
   休憩(15分)
   総合討議(90分)


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