『季刊 ピープルズ・プラン』48号:特集「生存権」

『季刊 ピープルズ・プラン』48号(2009年)
 :特集「生存権」


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 ピープルズ・プラン研究所で刊行している雑誌の最新号。特集は「生存権」。近年、「反貧困」の運動のなかで、生存権の問題は再注目を浴びているが、本特集の特徴は、ジェンダー的な視点や南北問題の視点など、広い視野で論じているところ。少し意外なのは、政治思想研究の齋藤純一氏が座談会に登場していること。少し浮いているような気もしますが、こうして理論家が現実に関わろうとしているのかぁと思って読みました。
◆したたかに生き延びる
  ――「南」に学ぶ生存の術(大橋成子)
◆【座談会】共に生きるための連帯
    齋藤純一×高谷幸×青山薫
◆ベーシック・インカム
  ――実現可能性を問う前に理念の承認を(山森亮)
◆創造的定常経済システムの構想
  ――資本主義・社会主義・エコロジーの交差(広井良典)
◆女性の貧困と生存権(栗田隆子)
◆【インタビュー・古関彰一さん】
  農民の論理が生んだ平和的生存権 

〈当事者・現場からの発言〉
◆シングルマザーと生存権(中野冬美)
◆ホームレスと女とノラ(いちむらみさこ)

 特集外ではありますが、

◆《座談会》民主党政権にどう向き合うのか
  ――政権が逆らえないような社会運動を創り出そう
        河添誠×鈴木ふみ×武藤一羊×白川真澄

は、民主党新政権の新自由主義的側面と社民主義的側面とのせめぎ合いについて討議をしており、特集の問題にも深く関わっている。
 と同時に、民主党政権で揺れている普天間基地の返還/移設については、この対談で論じられている他、以下の二つの記事も掲載。どちらも濃密なレポートです(それに対して、どうして大手メディアはアメリカの顔色うかがいばかりするのか。メディアが率先して辺野古移設しかないかのような風潮を誘導してはならんでしょう)。

◆第七回「軍事主義を許さない国際女性ネットワーク」会議
       inグアムに参加して(秋林こずえ・高里鈴代)
◆《短期集中連載》海兵隊グアム移転
  ――誰のための負担軽減なのか(2)(山口響)

 オマケですが、以下の書評にも興味深いものがありました。

【リレ-書評】◎小熊英二『1968』(1)
  「東大解体」は嫌いですか(安藤紀典)

 評者は「当事者」として事実誤認などを指摘し、また運動の意義についても異論を唱えています。僕は当事者でもなく、評者の立場に同意するわけではないけれども、やはりこんな本が絶賛されてはダメだろうと僕も思ってます。
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