高齢の在日コリアン女性一世への生活史聞き取りの記録、『在日コリアン女性20人の軌跡』

かわさきのハルモニ・ハラボジと結ぶ2000人ネットワーク 生活史聞き書き・編集委員会(編)『在日コリアン女性20人の軌跡――国境を越え、私はこうして生きてきた』(明石書店、2009年)

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 工業地帯である川崎市の、つまり戦時中から多くの朝鮮人が労働に徴用された地域の在日朝鮮人の一世の女性たち、つまりもう80~90歳ぐらいの方々への聞き取り調査の記録である。
 ほかにも在日一世への聞き取り調査は、近年いくつか出ているが、そろそろ証言の物理的な限界が迫っているという事情も、こうした聞き取り活動を後押ししている。実際、この本に登場した20人のうち、すでに数人が、本書刊行を待たずに亡くなっているという。

 本書の特徴は、聞き取り調査プロジェクトが、高齢者のための「識字学級」での「ふれあい」から始まっていること。一方的に学習をさせるのではなく(その過ちをふまえたうえで)、ハルモニたちにライフヒストリーを語ってもらい、それに耳を傾けること。そうした相互学習が、真にハルモニを元気にさせるのだといところから、このプロジェクトが始まったとのこと。

 第一部が、20人への聞き取りのまとめ。160頁分ぐらいあって、本書のメイン。しかし、一人当たりの分量を見ると、8頁。やや物足りない印象もある。20人も扱えば仕方がない。
 第二部が、解説も兼ねた記事。樋口雄一「ハルモニたちの時代」、鈴木宏子「ハルモニたちとともに学んで」。

 あとは、市民活動から一冊の本になったというのが、素晴らしいと思います。本のかたちでより広い人びとに読んでもらえるようになるわけですから。

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在日コリアン女性20人の軌跡
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