〈9・11〉から8年、変わらぬアメリカ――『アメリカン・ジハード:連鎖するテロのルーツ』

マフムード・マムダーニ『アメリカン・ジハード――連鎖するテロのルーツ』(越智道雄訳、岩波書店、2005年)

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 2001年のアメリカ・ニューヨークの〈9・11〉から8年。いろいろイベントも開かれたようですが、イラクとアフガニスタンでなおも続いている悲劇をどう考えればいいのでしょうか。オバマ政権になっても事態は何も変わっていません。とくにアフガニスタンに重点を移したことで、泥沼は悪化。アフガニスタンは「オバマの戦争」になりつつあります。そして、オバマ政権下でも変わらないのは、イスラエルのパレスチナ占領政策支持です。

 この期に読み直したいのは、マフムード・マムダーニ『アメリカン・ジハード――連鎖するテロのルーツ』。
 著者はインド系のウガンダ人でムスリム。
 本書の特徴は、「冷戦」という名でアメリカ合衆国が第三世界に持ち込んだ熱戦=代理戦争に、「テロ」のルーツがあるとしている点。一人のアフリカ人として著者は、そのことを強調します。
 是非とも気をつけなければならないのは、アメリカが私たちの国々の政府や政治的エリートらを新手の冷戦に引きずり込もうとしていることだ。忘れてならないことは、アフリカにとっては、中東やアジアや中南米にとってと同じく、冷戦は熱戦だった事実である。私たちは、国家の軍事化、政治の責任欠如、経済資源の質入れと、膨大な犠牲を払った。冷戦の最終局面では、普通のムスリムもイスラーム政府がアメリカ帝国と同盟した結果、莫大な犠牲を払った本書で示したように、その犠牲はイスラームの軍事化、イスラームの総体的イデオロギー化だった。(日本語版序文より)

 とくに、インドシナでの代理戦争、そしてアフガニスタンでの代理戦争に、著者は大きな転換点を見ます。「冷戦のハイライト」であったアフガニスタンは、いまや対テロ戦争のハイライトともなってしまっています。
 そして、アフガニスタン1979年のアフガニスタンと同時にあったのがイラン革命、それに続くアメリカのイラクへの肩入れ、イラン・イラク戦争。これが湾岸戦争とイラク戦争を引き起こしていくのも明白です。

 いまいったい何が起きているのか、それを考えるためには、もう少し長いスパンで考え見ていかなければならないと思います。本書はそのための貴重な材料を提供してくれます。
 日本語版序文、小杉泰氏による解説文も付いて、親切なつくりになっています。(でも、固有名詞が英語帝国主義的な訳になっていたのはちょっと残念です。)

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