マウリツィオ・ラッツァラート『出来事のポリティクス――知-政治と新たな協働』洛北出版

マウリツィオ・ラッツァラート『出来事のポリティクス――知-政治と新たな協働』、村澤真保呂・中倉智徳訳、洛北出版、2008年

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 先に紹介した廣瀬純『シネキャピタル』(洛北出版)と合わせて読みたいのが、同じ洛北出版から刊行された二つ。一つがすでに紹介をしましたジョック・ヤング『排除型社会』。もう一つがコレ。
 注目のイタリアの新しい社会運動の理論家で、日本語初訳。著者は昨年、反G8国際シンポのために来日もしています。ネグリなどとともに雑誌『マルチチュード』の編集員。

 本書の目次詳細は洛北出版の紹介ページで。

以下、カバー裏の紹介文より。
現代は、工場が製品を生産する時代ではなく、企業が「世界」を生産する時代である。この変化にともない、かつて労働運動が依拠してきた「労働」は、資本からも国家からも見捨てられ、いまやコントロールの手段としての「雇用」に取って代わられた。人々の創造性(脳の協働)をたえず捕獲しつづけるこの「知-政治」を、いかにして解体するか?

本書は、現代の資本主義と労働運動に起こった深い変容を描きだすとともに、不安定生活者による社会運動をつうじて、新たな労働論、コミュニケーション論を提唱する意欲作である。


 この日本語訳版では、初の単行本翻訳ということもあり、巻末に著者インタヴューが掲載されています。そこでは、ラッツァラートの「知-政治」とフーコーの「生-政治」との関係、あるいは、従来のマルクス主義階級論やドゥルーズの資本主義批判との関係、さらには「言語論的転回」と対比させられる「出来事論的転回」についてなど、簡潔に答えられています。訳者らも言うように、本文に先だってこのインタヴューから読むのがいいかもしれません。

 それにしても、小さくて若い出版者である洛北の出す書物は、どれも味わい深く面白い。これまで、廣瀬『シネキャピタル』、ヤング『排除型社会』のほかに、梅木達郎『支配なき公共性』、石田美紀『密やかな教育』、マサオ・ミヨシ『抵抗の場へ』を紹介してきました。今後も注目の出版社です。
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出来事のポリティクス―知-政治と新たな協働
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マウリツィオ・ラッツァラート

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