錚々たる知識人たちのインタヴュー集――『グローバル権力から世界を取り戻すための13人の提言』

ネルミーン・シャイク『グローバル権力から世界を取り戻すための13人の提言』、篠儀直子訳、青土社、2009年

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 現在のグローバル化や新帝国主義に対抗するためのアイディア・視角を提供する。
 目次(インタヴューを受けた人の一覧)を見るだけでも、すごい面々。
第1部 グローバル経済
1. アマルティア・セン
2. ヘレナ・ノーバーグ=ホッジ
3. サンジェイ・レディ
4. ジョセフ・スティグリッツ

第2部 ポスト植民地主義と新帝国主義
5. パルタ・チャタジー
6. マフムード・マムダーニ
7. アナトール・リーヴェン

第3部 フェミニズムと人権
8. シーリーン・エバーディー
9. ライラ・アブー=ルゴッド
10. サバ・マフムード
11. ガヤトリ・チャクラヴォルティ・スピヴァク

第4部 世俗主義とイスラム
12. タラル・アサド
13. ギル・アニジャール

 テーマと参加者を見るだけで、欧米中心主義、経済中心主義を批判するために最強の布陣を敷こうとする姿勢が伝わってくる。

 このなかで、アマルティア・センやスティグリッツ、スピヴァックはすでに世界的に著名。また、タラル・アサドも、近年次々と日本語圏に紹介されてきている。この4人については、巻末のプロフィール一覧に、たくさんの日本語訳が紹介されている。

 そのプロフィール一覧では触れられていないが、、、
 イランの弁護士・人権活動家シーリーン・エバーディーについては、『私は逃げない――ある女性弁護士のイスラム革命』(竹林卓訳、講談社、2007年)として訳がある(こちらは「シリン・エバディ」になっているから気がつかなかった?)。
 パルタ・チャタジーについては、共著ではあるが、『サバルタンの歴史――インド史の脱構築』(竹中千春訳、岩波書店、1998年)という翻訳がある。
 また、ギル・アニジャールについては、『現代思想』の2003年の臨時増刊号(追悼号)「サイード」にインタヴューがある。「Beginnings――エドワード・サイードに捧ぐ」という題で、増田一夫氏と鵜飼哲氏が聞き手。

 実は本書で僕がいちばん注目したのが、アニジャール。まだ一冊も訳されていないけれども、重要な本を何冊か出している、反シオニストのユダヤ人思想家であり、デリダの影響も強く受けている。これまで活字で読めたのは、上記『現代思想』のインタヴュー(同特集号でいちばん面白かった!)と、あとは東京外国語大学に招聘されたときのシンポの記録が外大の年報で訳されているぐらいしかなかった。
 まずアニジャールを訳せる人はそうそうはいないので、こうしたインタヴューも貴重だ。

 なお、ライラ・アブー=ルゴッドについては、本書刊行後、彼女の編集になる『 「女性をつくりかえる」という思想――中東におけるフェミニズムと近代性』(明石書店、2009年7月)が翻訳刊行された(こちらはアブー=ルゴドと表記されている)。

 いずれも本書との関連で合わせて読まれたい。
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グローバル権力から世界をとりもどすための13人の提言
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