〈8・15〉で終わったわけではない――終戦記念日に加藤聖文『「大日本帝国」崩壊』を読む

加藤聖文『「大日本帝国」崩壊――東アジアの1945年』、中公新書、2009年

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 1945年8月15日から64年目の終戦記念日。平和を願っての不戦の誓いが繰り返された。「戦争の惨禍を忘れません」と。
 だけれども、〈8・15〉ばかりが語られるときに、実は「植民地帝国日本」の領域とは何だったのか、そこで何が起きたのかは、かえって忘却されていくばかりだ。
 植民地だった台湾・朝鮮、傀儡国家・満州、統治領となった南洋群島、そして中国や東南アジアの軍事占領地は、8月15日できれいさっぱり解放されたわけではなかった。その後しばらく戦闘行為が継続したり、日本軍あるいは統治行政府が居座ったりといったこともあったし、すでに冷戦を開始していた英米とソ連との駆け引き的な介入によって、分断と新しい支配も生じていた。
 その傷跡は、南北朝鮮の分断体制に典型的に表れているように、現在にまで継続している。
 だから、〈8・15〉は、日本の戦中と戦後との区切り、つまり平和国家としての戦後の起点ではない。植民地帝国の旧版図においては、無責任に放置され切り捨てられた日であり、そのために新たな混乱と苦難の始まりの日でもある。

 本書は、各地域ごとに章分けをして、1945年8月15日の前後の動きを詳細かつコンパクトにまとめた新書である。「悲惨な戦争を繰り返しません」と誓いだてるだけでは忘却されてしまう、「大日本帝国」の歴史の見取り図が描かれている。
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「大日本帝国」崩壊―東アジアの1945年 (中公新書)
中央公論新社
加藤 聖文

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