福山雅治「被爆2世」告白とか、または映画化のテレビ放送で――こうの史代『夕凪の街 桜の国』再読

こうの史代『夕凪の街 桜の国』双葉社、2004年
こうの史代『この世界の片隅に(上・中・下)』双葉社、2008-09年


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 8月6日、そして9日を過ぎた。(6日には東琢磨『ヒロシマ独立論』を取り上げた。)
 9日の長崎・原爆の日には、歌手・俳優の福山雅治氏(日ごろから長崎への郷土愛を隠さない)がラジオ番組で、父親が長崎で直接被爆体験をしており、また母親も厳密には被爆している、いわゆる「被爆2世」であると告白したそうで、新聞などでも話題になっている。

 そこで思い出したのが、こうの史代の『夕凪の街 桜の国』、とくに「桜の国」のほう。「夕凪の街」で亡くなった叔母。その弟を父にもち、また母も早くに原爆症で亡くした娘が主人公。つまり彼女も被爆2世だ。この二話・二世代の重層的な物語でもって、人が抱える不安や記憶などを静かに深く表現している。

 被爆2世であることがなお重い意味をもってしまうこの社会。福山氏の「告白」はそのことをあらためて思い起こさせた。「原爆の時代」は終わっていない。

 ちなみに、東琢磨『ヒロシマ独立論』も、まさに地元の人としての独特の視点から、『夕凪の街 桜の国』を論じている。
 それから、『夕凪の街 桜の国』は映画化されているが、今週土曜日、8月15日の深夜に、日テレ系列でテレビ放送されることになっている。

 ちょうどこの春に、こうの史代がヒロシマを主題にした(原爆直前から直後の時期の広島と呉を舞台にした)新しい漫画の完結編を刊行した。『この世界の片隅に(上・中・下)』(2008-09年)。
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 ちょうどいま、いろいろなタイミングが重なって、『夕凪の街 桜の国』を読み直したところだ。
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夕凪の街 桜の国 (双葉文庫)
双葉社
こうの 史代

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