臼杵監修/赤尾・早尾編『ディアスポラから世界を読む』合評会シンポジウムが盛況のうちに終了

臼杵陽(監修)/赤尾光春・早尾貴紀(編)
『ディアスポラから世界を読む――離散を架橋するために』
明石書店、2009年


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 26日に、臼杵陽(監修)/赤尾光春・早尾貴紀(編)『ディアスポラから世界を読む――離散を架橋するために』(明石書店)の合評会シンポジウムをしました。
 たいへんな盛り上がりで、執筆者側もほぼ全員が参加。コメンテーターの三氏がひじょうに丁寧な読解と批評をくださって、感謝感謝ですし、執筆者どうし・そしてコメンテーターも加えて、お互いに刺激をしあえるいい機会になりました。
 さらに今後は書店で関連ブックフェア、トークイベントなども計画中です。詳細決まり次第、案内します。

 一冊の本で、執筆者たちが、そして場を外に開いて、議論を重ねていけるというのは、本当に貴重なことです。明石書店の兵頭さんにあらためて感謝。明石書店はいま組合問題を抱えていて、ゴタゴタがあるようですが、兵頭さんなどの問題意識の高い編集者が、安心して本づくりができる環境になることを心から望んでいます。「人権の明石書店」なのですから。

 このタイミングで、『週刊金曜日』(7/24号)に本橋哲也さんが書評を書いてくださいました。また図書新聞では細見和之さんが上半期の3冊に挙げてくださいました。心強いことです。

    *    *    *

 合評会シンポの会場質疑を受けてですが、拙論について自己補足。
 僕は、かつて「ヘーゲル左派」だったこともあるモーゼス・ヘスという一人の人物の「挫折」と「転向」を通じて、「時代の思考形式」の変遷に焦点を当てて議論をしました。しかし、「実際のシオニズム運動のメインストリームにはヘーゲルの影響など認められない」という批判も聞こえました。
 でも、これが噛み合っていないのは一目瞭然で、ヘスは初期マルクスの盟友で当時は市民社会論者。しかもその人物が数十年後には人種論的シオニストに「転向」した変節を僕は問題にしているのであって、ヘーゲル思想から一直線にシオニズムが生まれたなどとはどこにも書いていません。また、ヘーゲル本人と俗流ヘーゲル主義とヘーゲル左派との区別もきちんとしなければなりません。

 あとはヘーゲル学会とかシオニスト学会にでも行って議論してくださいという感じです。
 当日会場でも言いましたが、本書は学会誌ではなく、紀要でもないのです。そこに意義があるのですから。

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