ジェンダー&エスニシティの複眼的視点から沖縄研究を再定義する、勝方=稲福恵子『おきなわ女性学事始』

勝方=稲福恵子、『おきなわ女性学事始』、新宿書房、2006年

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 今日の連続ティーチイン沖縄で宮城晴美さん講演をバックアップした早稲田大学 琉球・沖縄研究所の勝方=稲福恵子さんの著書で、沖縄研究をジェンダーとエスニシティの交差点から位置づける試み。
 今日の講演も、家父長制が「集団自決」を引き起こした側面に焦点を当てていた。日本軍による自決命令は、家父長的価値観に促されることによって、一方で家長たる男性を一家殺害および自害へと追い込み、他方でレイプによるスティグマを避けるべく女性らを「集団自決」へと追い込んだ。
 『沖縄・問いを立てる』シリーズの第3巻と第4巻は、このジェンダーも絡む問題を扱っている。

 さて、本書『おきなわ女性学事始』は、沖縄研究総体を、「女性」の観点から一新する重要な試みだ。もちろん著者も意識するように、「沖縄女性」という実体や単一像が前提として語れるわけではない。それは誰のことなのか、アイデンティティの問題は複雑きわまりない。
 だけれども著者は、こう言う。「しかしはっきりしていることは、沖縄の置かれているこの社会状況が、「おきなわ意識」を激しい勢いで噴出させているのだということ、しかも「知の地殻変動」と言われる1970年代以降の学問の動向が、ジェンダーやエスニシティの視点を鋭利に研ぎ澄ましてきたということ、であろう。「おきなわ」と「女性」という二つの視点を複眼的に使うことは、今まで見えていた世界をガラリと変える可能性が出てきたのである。」(p223)
目次
序 章 越境する沖縄女性
第一章 女性学とは何か?
第二章 沖縄女性史概観――古層と儒教と近代の併存
   一、祭祀組織と女性の地位
   二、「近代化=ヤマト化=西欧化」の矛盾
   三、沖縄女性としてのアイデンティティ
第三章 「沈黙」を語る
   一、「沈黙」という語り
   二、「沈黙」を破る――組踊「熱心鐘人」を読み直す
   三、語るための枠組み
第四章 幻の女性作家・久志芙沙子
   一、幻の作家をめぐる物語
   二、その作品と時代背景
   三、久志芙沙子の沈黙
第五章 消費される沖縄女性
第六章 「おきなわ女性学」へ
   一、異端の語り――「沈黙」は「幻の声」「幻の作品」
   二、新しい「語り」をつくる
   三、「おきなわ」を語る空間をつくるために

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