ローゼンツヴァイク『救済の星』の格好の副読本、村岡晋一『対話の哲学』(選書メチエ)

村岡晋一著、『対話の哲学――ドイツ・ユダヤ思想の隠れた系譜』、講談社選書メチエ、2008年

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 前回書いたように、ローゼンツヴァイク『救済の星』(みすず書房)が刊行されたわけだが、このある意味難解な大著の書かれた、背景、意義、解釈可能性などについて、訳者の中心人物である村岡晋一氏が、選書を書いている。

 まず、ドイツ・ユダヤ人問題の概略を第一章に置き、ローゼンツヴァイクに決定的に影響を与えたヘルマン・コーヘン論を第二章、次にローゼンツヴァイク論。
 その次の第四章は、訳者がローゼンツヴァイクの『救済の星』の核心部分と捉える、西欧形而上学のロゴス中心主義を批判する「対話の思想」を、古代ギリシャ思想のプラトンから現代言語哲学のオースティンの流れのなかで位置づけつつ、ローゼンツヴァイクに約100年先立つフンボルト言語学の再評価をする。
 そして最後の章では、『救済の星』を基盤にしつつ、再度アリストテレスからクリプキやレヴィナスなど現代哲学にいたるまでの「対話」論を検討し、「対話の一般構造」を模索する。

 これはある意味で、『救済の星』翻訳書読解の副読本のようなもの。ユダヤ思想という特殊な立場を出発点にしつつも、しかし言語論や分析哲学も足がかりに、より普遍的な「対話」の思想の可能性を探究しており、ユダヤ思想などを知らなくとも、ローゼンツヴァイクの意義が読み取れるようになっている、平易な入門書。

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対話の哲学 ドイツ・ユダヤ思想の隠れた系譜 (講談社選書メチエ)
講談社
村岡 晋一

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