やっぱり100年以上は遡らないと――佐谷眞木人『日清戦争――「国民」の誕生』講談社現代新書

佐谷眞木人、『日清戦争――「国民」の誕生』、講談社現代新書、2009年

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 ヨーロッパ近代を考えるときに、ここのところ、ローゼンツヴァイクやヴェーバーに触れたときに、第一次世界大戦前後からの90年スパンぐらいで見ないと、いろいろなことがわからない、というようなことがしばしば言われます。
 じゃあ日本は、と振り返ったときに、日清戦争(1894-95)・日露戦争(1904-05)が、すでに朝鮮半島などの海外植民利権をめぐっての資源争奪戦争だったこと、そしてそれと同時に、それらの戦争が、そのわずか前まで、戊辰戦争、西南戦争、琉球処分などなどの内戦的な問題の山積していた、バラバラな複数の場としての「日本」を統合するプロセスでもあったこと。これらを考えると、「明るい明治」と「暗い昭和」などという周知の分類っていうのが、やっぱり成り立ちようもない。内的国境を考えるなら戊辰戦争から、帝国主義戦争を考えるなら日清戦争から、そしてそのいずれもが「国民化」の問題と関わっているわけです。

 というわけで、本書、佐谷眞木人『日清戦争――「国民」の誕生』(講談社現代新書)を。日清戦争だけをテーマにしたものはいくらでも他にありますが、本書は、東アジア全体の視点から捉えていること、「国民化」の問題を軸に入れていること、そして新しいこと、コンパクトなこと、これらの諸点から推薦。
 第一章で、西南戦争で賊軍として果てた西郷隆盛の「征韓論」が、「国策」として「復活」させられる皮肉な道筋が描かれ、以降、従軍記者、忠勇美談、銃後支援、戦争ごっこ、死者鎮魂、などなどの顕著な出来事を分析し、最後に日本の位置とナショナリズムのねじれについて触れています。

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日清戦争─「国民」の誕生 (講談社現代新書)
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佐谷 眞木人

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