イスラエルのガザ侵攻に反対するイスラエル内の反シオニスト・グループ、「民主的行動機構」

刊行委員会編『パレスチナ/イスラエルの女たちは語る――オリーブがつくる平和へのオルタナティブ』、つげ書房新社、2002年

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 イスラエルのガザ侵攻のさなか、正月早々から、二つの記事を翻訳した。

 ヤコブ・ベン・エフラート「ガザを支配するイスラエル」
 
 ヤコブ・ベン・エフラート「ガザ戦争に対するイスラエルの責任」

 また、それへの補足として以下の文章を書いた。

 早尾貴紀「ハマス政権の評価をめぐって――ヤコブ・ベン・エフラートの論考への訳注として」


 上記の補足文章にも触れたが、この執筆者は、イスラエルのなかで、ユダヤ人とアラブ人がともに反シオニズムの立場で、生活や労働の現場から闘っているグループ「民主的行動機構」の主要メンバーの一人であり、私とも面識がある。また、このグループは、他にアラブ人の労働組合を組織したり、フェアトレード団体をつくったり、女性団体をつくったりと、多面的で地道な活動をおこなっている。
 フェアトレード部門のほうは、主にガリラヤ地方のアラブ人オリーブ農家を支援しつつ、地元女性に職をつくるべくオリーブ工場を運営している。また、西岸地区ナーブルスのオリーブオイル石けん工場と提携して、オリジナルの高品質オリーブオイル石けんを生産し、オイルとともに海外にフェアトレードの手法で出荷している。それによって、生産者を支えつつ、同時に海外に継続的に繋がっていくことを試みている。
 日本では、仙台のパレスチナ・オリーブがそのパートナーとなっており、私の連れ合いの家業でもある。
 彼らのスタンスと活動に共感を覚え、かれこれもう10年もつき合っていることになる。

 そうしたなかで、2002年にはそのフェアトレード部門「ガリラヤのシンディアナ」の主要メンバーの女性二人、ユダヤ人のハダス・ラハヴとパレスチナ人のサーミア・ナーセルの二人を日本に招聘し、仙台・東京・大阪・京都で講演や交流をおこなう機会があった。
 本書、『パレスチナ/イスラエルの女たちは語る――オリーブがつくる平和へのオルタナティブ』はその記録を編集した一書である。

 これを読むと、彼女ら/彼らが、現在のパレスチナ/イスラエル問題を、民族問題・階級問題・ジェンダー問題を、重層的に捉える視点から取り組んでいることがよくわかる。ただの民族「紛争」ではない。ユダヤ人が特権をもち、明らかにイスラエル国内でもアラブ系市民の失業率は高いままだ。そのアラブ・コミュニティのなかで女性が仕事をもつことはなおさら困難である。
 また、この「民主的行動機構」のメンバーらは、社会主義者として、インターナショナリストとして、問題の解決を、国際的な連携のもとに考えている。イスラエル一国では解決はない。イスラエルのシオニズムを容認している欧米そして日本が関係性から変えていかなければ、イスラエルの差別政策・占領政策は変わらない。
 アメリカだけの問題でもないと彼女らは言う。「日本とヨーロッパ抜きにアメリカ一国だけで中東政策を動かせるわけではないということを、日本の人びとは責任をもってもっと認識すべきだ」、と。

 そういうグループのメンバーが書いた、ガザ侵攻に反対しイスラエルを痛烈に批判する記事をぜひどうぞ。また、あわせて本書もどうぞ。

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