移民労働者導入政策と非正規・不安定雇用問題とを同時に考える――『オルタ 特集 労働開国?』

『オルタ』2008年11・12月号
特集「労働開国?――移民・外国人労働者・フリーター」


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 毎号紹介しています、アジア太平洋資料センター(PARC)で出している雑誌『オルタ』。今回は、労働問題を、移民/外国人労働者問題と、不安定/非正規雇用問題とを結びつけて考える特集です。
 まずは編集部からの特集紹介。

ここにきて、外国人労働者や移民受入れへ向けた動きが活発化している。6月に自民党のプロジェクトチームが1000万人の移民受入れ提言を首相に提出。去る10月には経団連が、やはり受入れへの転換を強く促す政策文書を発表した。ともに人権尊重と民族の平等など「多民族」「多文化」共生を掲げながら、タブーとされてきた外国人労働者の導入を主張している。

いよいよ本格化する少子高齢化、労働力人口の減少を控え、もはや国籍に関係なく日本経済/社会に資する人材の優遇へと舵を切ったかのように見える。こうした形での受入れにどう対峙すべきなのか。あるいは研修生問題や非正規滞在者排除など、いまここの外国人問題は、「格差」「貧困」の議論といかなる関係にあったのか。グローバリズムとナショナリズムの交差する場から、新自由主義体制下の“多文化”や“平等”を考える。


 目次の詳細は、ここ
 主なものを紹介しますと、
・巻頭討議 五十嵐泰正×塩原良和×宣 元錫
 宣さんには、『ディアスポラと社会変容』でご発言、ご執筆くださいました。 五十嵐さんは、『現代思想 隣の外国人』でも鼎談(洪貴義さんとアンジェロ・イシさんとともに)に出られています。

・介護「開国元年」─導入の背景と課題 安里和晃
 介護労働者をフィリピンやインドネシアから入れる問題について。受け入れ国にも送り出し国にも、いろいろ難しい問題を伴っています。『ディアスポラと社会変容』でも、川村千鶴子さんと元百合子さんが議論しています。

・外国人労働者問題?─神奈川シティユニオンの取り組みから
  大月啓介(ジャーナリスト)
 大月さんは、『オルタ』で「隣のガイコクジン」を連載中。 でも私とは、パレスチナでの知りあい。中東をフィールドに取材するフリーランスの若手ジャーナリストです。今号では、「外国人」かどうかを問わずにとにかく労働者の権利と生活を守るべく労働基準法遵守のために活動する組合を取材。

・ ミドルクラス化する多文化主義
  ─新自由主義体制下の移民政策を考える 渋谷 望
 多文化主義が国・行政側から謳われるのは、それがいいことだと思っているからではなく、移民労働時代に備えての、一つの政治戦略。「良い外国人」である、能力があり従順で模範的な、「ミドルクラスの移民」を想定している、と渋谷は指摘する。同時にこれは、「悪い外国人」たる難民や難民認定を拒否された避難民や、あるいは非正規滞在者を排除するためのものでもある。さらに雇用の規制緩和・自由化は、移民・外国人労働者の導入と同時に、日本人雇用の非正規化・不安定化を、同時に意図したものだった。

・「03のまま」つながる大連のコールセンター 編集部
 以前から、アメリカの会社が、英語を公用語とするインドにコールセンターを設置しているけれども、アメリカからの利用者は国内にあるものと信じて疑わない、ということが知られていた。国内番号で通じ、スタッフは完璧な英語で、アメリカ国内の、しかも利用者の地元の天気や社会ネタに通じた雑談も交わす、と。いまや日本もその時代に入っている。日本の無職者を日本の最低賃金の半分以下の時給300円ほどで日本企業が中国で働かせる。これが労働基準法違反でない、というから衝撃だ。

 特集以外の記事ではあるが、
  公園くらい休ませろ!─宮下公園「ナイキ化」計画の真実
   植田那美×黒岩大助×武 盾一郎
も、企業利益主導のネオリベ化と関連する重大な問題。