沖縄で米軍所有の航空機墜落――『沖国大がアメリカに占領された日』再読

黒澤亜里子・編『沖国大がアメリカに占領された日――8・13米軍ヘリ墜落事件から見えてきた沖縄/日本の縮図』、青土社、2005年

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 また沖縄でアメリカ軍所有の航空機が墜落炎上した。10月24日の夕方、小学校の近くのサトウキビ畑に墜落した(乗員は全員無事)。国道もすぐ側を通っている。そして例によって、地位協定を楯に、大破した機体はアメリカ軍が回収し、日本の警察権は及ばない。現場検証・捜査さえ、アメリカ軍ともめているようだ。

 ここで思い起こされるのは、2004年8月、沖縄国際大学のキャンパス内にアメリカ軍のヘリコプターが墜落炎上した事件だ。キャンパス内での墜落であったことや、放射性物質汚染があったこと、そして何より、アメリカ軍がキャンパス内を占領し、警察も大学関係者も強圧的に排除し、完全に管理統制下においたこともあり、今回の事件よりははるかに大きく報道された。今回も、小学校に直撃でもしなければ、注目されることはないのかと思ってしまう。
 とはいえ、その沖国大の事件も、あっというまに本土メディアからは消え去っていった。いまではいったいどれぐらいの人びとが記憶していることだろうか。とくに本土の人間のなかで。

 これを機に、自分でも『沖国大がアメリカに占領された日』を本棚から取り出して、再度手に取ってみた。こうして思い起こそうとしたときに、すぐにまとまったドキュメントとしてすぐに手にできることはありがたい。記録を作成するということの重要さだ。
 本書は、沖国大の教員である黒澤氏が編者となり、大学教職員や地域住民らによる当時の記録が収められてあるほか、日常生活が米軍基地と隣り合わせになっている実態や、経済活動が基地に依存させられている構造的な問題、そして「米軍―日本―沖縄」という基地を媒介にした関係性、とくに日本政府・本土と米軍との共犯関係、こういった広範囲な問題が、この米軍機墜落炎上事件を切り口に論じられている。これが第一部。寄稿者も新崎盛輝、新城郁夫、宮城晴美、仲里効をはじめとし、そうそうたる顔ぶれだ。
 続く第二部では、の米軍機墜落援助事件――大学の建物と壁にすさまじい炎上の痕跡を残したわけだが――をどのように保存・記憶できるのか、そしてそこから何を想起し、またそこから何を発信できるのかについての多面的な議論になっている。こちらも田仲康博、佐喜眞道夫、屋嘉比収、真喜志好一などなど、多くが寄稿している。

 今回のサトウキビ畑への小型航空機の墜落は「小さな」事件と見られるだろう。だが、本当にそうだろうか。規模の大小の問題に帰してはならないと思う。事件が起ころうが起こるまいが、米軍基地を沖縄に集中させることで、沖縄の人びとの生活を危険にさらしていること、基地依存の歪んだ経済構造を押しつけていること、そういう「日常」こそが問題なのだ。
 ともあれ、この機に、『沖国大がアメリカに占領された日』を読もう。

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