『思想』でレオ・シュトラウスの画期的特集!

『思想』(岩波書店)2008年10月号
「総特集:レオシュトラウスの思想」


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 〈9・11〉以降、「ネオコンのイデオローグ」などという妙な注目を浴びた政治思想家、レオ・シュトラウス。しかし、思想史の分野では、古代ギリシャ思想、中世イスラーム思想、近世のホッブズやスピノザについて論じ、そして同じドイツ系ユダヤ人として、ヘルマン・コーエンやフランツ・ローゼンツヴァイクの仕事に深く関わった。またフランス・イギリスに留学中にドイツではナチスが台頭し帰国できなくなり事実上亡命。その後アメリカに定住した。
 とくにアメリカでのシュトラウスは、ニヒリズムやリベラリズムを批判する立場から、「徳」の探究をおこなったことで、保守的な学派を形成した。(そのことが「ネオコン・イデオローグ」というレッテルの遠因になっているかもしれないが、実際にはあまり関係ないらしい。)

 さて、古代思想から現代思想にまで広く深くコミットしたシュトラウスに、『思想』が総特集号を組んだ。しかも、普段の2倍近い厚さで! 目次はこちら
 まず注目すべきは、シュトラウスの論考や講演の翻訳が多く含まれていること。なんと6本だ。
 それから、古代思想や中世イスラーム思想との関わりについての論考も多い。
 そして(ある意味)目玉は、シュトラウスに多大な影響を与えたローゼンツヴァイクの「新しい思考」の翻訳が収録されていること。
 この特集号が、シュトラウスを根底から読解しようとしていることが感じられる。ともあれ、目次を見られたい。この内容、ボリュームで2500円は安い。実は内容的には、単行本化して長く書店に並ぶようにすべきものだと思うのだが、しかし、書籍化したら5000円では済まないだろう。雑誌だからこの値段に抑えられている。お買い得。

 UTCP(東京大学COE共生のための国際哲学教育研究センター)で、このシュトラウス特集号をもとにしたワークショップ「レオ・シュトラウスのアクチュアリティ」が開かれた。この号に論考を寄せているUTCPの友人である大竹弘二さんと國分功一郎
さんが報告、そしてやはり同号に大きく寄与された合田正人さんがコメンテーター。
 合田さんには、拙著『ユダヤとイスラエルのあいだ』ボヤーリン兄弟『ディアスポラの力』の書評をしていただいたが、今回が初対面。ようやく直接お礼を伝えることができた。

 それはさておき、私個人は、シュトラウスについての関心というのは、やはりシオニズム問題。シュトラウスは、政治シオニズムに接近したり、文化シオニズムに接近したり、揺れていた。また、世俗批判に向かったからと言って、宗教に全面的に肩入れをしたわけでもない。そして、イスラエルへの移民はせずに、アメリカに移住しそこで生涯を終えた。
 おそらく一筋縄ではいかない屈折したものがあるだろう。いずれレオ・シュトラウスにおけるシオニズム問題で論文を一つ書いてみたい。

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