「ロラン・バルト『明るい部屋』」論集成ーー「写真」の明証性(真実を写す?)をめぐる考察の数々

青弓社編集部(編)、『『明るい部屋』の秘密ーーロラン・バルトと写真の彼方へ』、青弓社、2008年

画像


 ロラン・バルトの『明るい部屋』(日本語訳はみすず書房)は、バルトの遺作にして、特異な写真論。そして本書は、ただのバルト論集ではなく、『明るい部屋』論集!
 それにしても、一冊の書物をめぐってここまで多くの人が論じているとは。そしてそれを、一定のテーマ設定のなかで並べてみると、写真の明証性(「過去の実体的な真実を写している」という実在論)を問いに付す『明るい部屋』の仕掛けが、それに挑む多様な論客たち(初出年は1974年から2007年にまで分散している)によってあらためて多面的に浮き彫りにされていくようです。

 私個人としては、恩師たる故・梅木達郎氏の「現前という狂気ーー『明るい部屋』再読」の収録を喜びたいと思います。三年前に梅木氏の論考を編集して『支配なき公共性ーーデリダ・灰・複数性』(洛北出版、2005年)として刊行しましたが、このバルト論は収録できませんでした。読み返してみて、いかにも梅木さんらしい、ギリギリのテクスト読解の展開を堪能できました。

 以下収録論文タイトルのみ(目次詳細は青弓社サイトで)。

第1章 『明るい部屋』のなか
 私はここで暮らしたいと思う 原 広司
 ロラン・バルトの部屋 小林康夫

第2章 『明るい部屋』の光
 まなざしの対位法 鈴村和成
 ロラン・バルトの哀悼 川島建太郎
 光の記憶 千葉文夫

第3章 『明るい部屋』の真実
 現前という狂気 梅木達郎
 写真と実在、そして真実 岡本源太

第4章 『明るい部屋』の外
 蝶の採集 城殿智行
 ベルナール・フォコンとロラン・バルト 竹内万里子

第5章 『明るい部屋』の時間
 ロラン・バルト『明るい部屋』考察 滝沢明子
 言語と写真 松本健太郎
 写真、バルト、時間 長谷正人

にほんブログ村 本ブログ 学術・専門書へ