パレスチナ人女性政治犯から考える「占領・ジェンダー・人権」ーー『Women in Struggle』

『Women in Struggleーーパレスチナ 占領・ジェンダー・人権を考える』(WiSEC、2008年)

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 この本は、ブサイナ・ホーリー監督のドキュメンタリー映画『Women in Struggleーー目線』(パレスチナ、2004年、56分)という映画の全国上映・監督講演会をきっかけに、京都の上映・講演会を主催した岡真理さんらを中心としたグループが、編集・刊行したものです。上映・講演ツアーは、2007年6-7月。北海道から沖縄までの7都市でおこなわれました。

 映画は、パレスチナ人の政治犯としてイスラエルに収監されていたことのある元政治犯の女性4人へのインタヴュー。一口に「パレスチナ女性政治犯」と言っても、そこにはひじょうに複雑で重層的で繊細な諸問題がはらまれています。伝統的な家族のなかに母や妻として位置づけられてきた女性が、民族解放闘争という政治運動に参加することは、たんにイスラエルの占領支配にパレスチナ人として抵抗するだけではなく、女性解放という意味合いもあります。
 逆に、そうした運動/闘争のなかでイスラエルに拘束され収監されると、即座に、非人道的な拷問を受けることになりますが、女性が拷問を受けるということは、性的な暴行をおうおうにしてともないます。民族紛争が性暴力とオーバーラップするのは、占領支配のロジックからすれば必然的です。
 そのため、元囚人女性が刻印されたスティグマ(恥辱)は、出獄後も、やはり伝統的なアラブ人コミュニティのなかで偏見に晒され、男性の元囚人の場合以上に、当人を苦しめます。
 こうした二重、三重に困難を背負わせられた女性政治犯については、ほとんど資料や研究が存在しません。表立って語ることが困難だからです。そうした元囚人女性らに、ブサイナ・ホーリー監督はインタヴューを試みました。

 まずは映画を観てほしいと思います。DVDとして販売されています(5000円)。申込先は、以下のサイトの末尾に記されています。

 WiSEC(映画『Women in Struggle -目線-』京都上映会記録集編集委員会)記録集公式サイト:http://mikoan.com/wis

 そして、この上映会・講演会の記録集(目次詳細と購入も上記のサイトから)ですが、全国企画のなかで、いちばんいろいろな展示やシンポジウムを企画していた京都が、当日の記録だけでなく、さまざまな関連したインタヴューやエッセイと、そして映画のスクリプトなどを収録して、一冊にまとめたものです。
 映画をきっかけに、本当に多くの錯綜した問題について議論を深めています。1000円という価格でこの内容の充実ぶり、お買い得です。Amazonなどでは買えませんでの、上記サイトから直接注文してください。

 また、上映会や講演会を記録として残し、一冊の本の形にまでまとめたというのも、大切なことだと思います。(私も参加しているミーダーンの編訳『イラン・パペ、パレスチナを語る』も、来日講演をまとめた一冊ですが、その場かぎりにしないで残していくということは、活動の蓄積と共有と発展のためにも必要だと思います)。

 余談ですが、この記録集に、全国ツアーの記録も掲載されているのですが、仙台での様子を記した111ページの写真に、私の子どもが映っています。ハンダラ君のTシャツを来たハンダラ君みたいな小坊主です(ハンダラ君は、暗殺されたナージ・アル・アリーの政治風刺画の主人公で、抵抗運動の象徴となっている)。