早尾貴紀:本のことなど

アクセスカウンタ

zoom RSS 「ガザ戦争」を期に「ハマスという選択」を再考する――エリック・アザン『占領ノート』の書評掲載

<<   作成日時 : 2009/01/06 07:00   >>

トラックバック 0 / コメント 0

エリック・アザン、『占領ノート:一ユダヤ人が見たパレスチナの生活』、益岡賢訳、現代企画室、2008年
(制作協力:パレスチナ情報センター=安藤滋夫、ナブルス通信


画像


 本書についてはここでも先に紹介しましたが、このたび『週刊読書人』の新年号に書評を掲載したので、再度取り上げます。

 その書評では、4点にわたってコメントを加えました。それについては、『読書人』そのものをご覧下さい。
 ここでは、そのうちの一つでもある、ハマス政権に関わることを記しておきます。
 このルポルタージュの著者アザンがパレスチナを訪問したのは2006年のハマス政権が発足してから間もなくのこと。ナブルス、カルキリヤ、ヘブロンという西岸地区にある三つの都市を訪れ、各地でハマス政権についての意見を人びとに聞いてました。選挙熱の冷めてない時期では当然のことだと思います。
 そして行く先々で人びとはみな、これまでの和平プロセス(オスロ合意の1993年以降)を振り返り、現在の悲惨さ(第二次インティファーダとその弾圧の2000年以降)を受け止め、そして将来のことを真剣に心配して、ハマスへの政権交代という選択をおこなった、というようなことを語っています。
 そこには誰一人として、「狂信的な原理主義者」などいません。

 ポイントは、
1、多くのこれまでファタハ支持だった人も、ファタハの腐敗と無能さに見切りをつけて、政権交代を望んだという、「民衆の選択」だったという点。
2、西岸=ファタハ、ガザ=ハマス、というメディアのイメージとは違って、西岸各地でも人びとがハマスを選んだという点。

 著者がガザ地区を訪れておらず、西岸地区だけに行ったということが、かえってこの政権交代がどのようなものだったのかを浮き彫りにしています。
 そのことを考えると、今度の「ガザ戦争」でイスラエルがハマス攻撃をしていることの不当性、そして世界がそれを容認していることの不当性が明らかです。

 ガザのルポではないが、ハマス政権誕生直後のパレスチナの人びとの生の声が聞ける本として、この機会にぜひお読みいただきたい。

にほんブログ村 本ブログへ


占領ノート―一ユダヤ人が見たパレスチナの生活
現代企画室
エリック・アザン

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ウェブリブログ

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

「ガザ戦争」を期に「ハマスという選択」を再考する――エリック・アザン『占領ノート』の書評掲載 早尾貴紀:本のことなど/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる